152:センラside ページ18
確かこの辺だと携帯のナビを頼りに歩くとスーツの集団が見えてあれか、とAちゃんを探す。
大柄の男達が酔っ払っているのか大声で笑ったり話したりしているのが耳障りであの中に居たのかと心配になる。
小さいAちゃんは埋もれて見えないのかもしれないと目を凝らして探すと、肩を組まれ身を縮めている彼女が見えた。
(おっさん、触ってくれるなよ)
何度も離れようとしているのになかなか離れようとしない男にイライラして仕方ない。
Aちゃんの前に立つ男と揉めているようで見てすぐにわかった。
(あいつか)
人間より目と耳もいいからか集中すすれば容易く聴こえるから向こうの声に集中する。
訴えかけているのは肩を組んだ男のはずなのにそいつはAちゃんしか見ていなかった。
(送っていく?お前が?)
ふざけた事言うとんなぁ、と笑えてくる。
間に入ってくれている女性は写真で見たことがあるなと憧れている先輩だと言っていたのを思い出した。
必死に引き剥がそうとしてくれてるのは有難いけど、お前が送るのはおかしいだろとAちゃんに近付く。
(下心丸見えやんけ)
送って何する気だと憤る気持ちを抑えながら何て言ってやろうかと考えながらもう少しという所で組まれた肩のせいでAちゃんがよろめいたのが見えて咄嗟に手が出た。
「大丈夫?」
うまく離せた身体を腕の中に囲うと振り向いたAちゃんはなんで?と驚いた顔をしていて笑ってしまいそうになる。
(当たり前か)
俺だって来れるとは思ってなかったんだから。
驚きながらも俺の顔を見たAちゃんは安心したような顔をした。
隣に立ってきっと描かれた魔法陣に気付いたんだろう。
隠してくれるように身を寄せたAちゃんに可愛いなと頬が緩む。
Aちゃんの先輩は俺が来たことに好意的で帰らせてくれようとするのが伺えて素敵な先輩だなと思った。
写真で見せてもらって顔を覚えた先輩たちとやらも遠くにいても好意的な視線を向けてくれて騒ぎを大きくしないよう気を使って会場にいこうと誘導する声が聞こえてきた。
うまくこのまま帰れると思っていたのに。
(邪魔すんなよ)
一緒にどうですかとふざけたことを言い始めた目の前の男をどうしてくれよう。
首の根を掻き切ってやりたい衝動を抑えながら冷たい視線を浴びせてもAちゃんに必死なこいつには効かないらしい。
しぶといやつだなと腹が立つ。
緩く繋がれたAちゃんの手を強く握り返してなんとか正気を保った。
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あーりん(プロフ) - lonleyさん» コメントありがとうございます!やっと書き始める事ができたのでのんびりにはなると思いますが読んで頂けると嬉しいです★ (2019年7月11日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ふらわぁさん» 気味悪さを表現したかったので、最高の褒め言葉ですwありがとうございます!笑 (2019年7月11日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
lonley - すごくおもしろかったです! 坂田くんver.気になって仕方ありません!! これからも頑張ってください! 応援してます! (2019年7月10日 21時) (レス) id: 39388112b7 (このIDを非表示/違反報告)
ふらわぁ(プロフ) - おかえりってところでゾクってしましたw (2019年7月10日 20時) (レス) id: c190ba3ed4 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - もえかさん» コメントありがとうございます!どちらも読んで頂けて嬉しいです( ;__; )今後もよろしくお願いします! (2019年7月7日 16時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーりん | 作成日時:2019年6月19日 6時