番外編:2 ページ49
言えない...。
ポーチが重いのか何度も鞄の中で落としてしまって悪戦苦闘してる顔が可愛い。
ごめんね、厚化粧で。
化粧品いっぱい入ってるから重いよね。
んー!とようやく持ち上げたポーチをソファに下ろしてハンカチの横に並べると達成感なのかふぅ、と小さく息を吐いてもう出すものは無いか鞄の中をチェックしているみたいだった。
「ありがとね」
お疲れ様、と頭を撫でると仕事を終えた顔の男の子は目を細めて笑ってくれた。
さっきまで下がっていた唇も嬉しそうに上がっていてふっくらとしたほっぺたが可愛い。
ペラペラと手帳を捲っていると腕に小さな手の感触。
一緒になって手帳を覗き飲む小さな身体。
見てもわかんないと思うんだけどな。
日付が書かれただけのページを一生懸命目で追っている。
(あ、ボールペン忘れた)
会社に忘れてきてしまったらしい。
書き込みたいのにペンが無いとどうしようも無い。
取りに行こうかなと何も考えず立ち上がる。
「っう!う!」
どこ行くの、一緒に連れてってと言われてるような気がした。
手を伸ばして必死な男の子に少し笑って抱き上げると両手でぎゅう、と首にしがみつかれてちょっと苦しい。
「一緒に行こうね」
どうやら一緒に行けば大人しくしていてくれるらしい。
テレビ台に置いていたボールペンを取ってソファに戻ると降ろしても拗ねた顔はしていなかった。
(もっとちゃんと自炊しないとなー)
買い物のレシートを見ながら、これからもしこの子もご飯を食べるようになったら1人分じゃだめだよね。と考えて携帯でレシピのチェックや栄養のある食材をしばらく調べていたけど、隣にいるのに嫌に静かなのが気になって視線をようやく男の子に移した。
「わぁ、、、」
「う?」
あれ?だめだった?とでも言うような顔で私を見上げる手元にはポーチの中身がほぼ出されていた。
今日は家で完璧に化粧が出来なかったから会社に持っていった分、いつもより量が多かったのに。
悪気が無いのはわかりきってるから怒れない。
というか、怒る程でも無い。
「綺麗に並べたね」
すごいすごいと手を叩くと褒められてるのはわかったらしくやる気になってポーチの中身をまた出そうとしていたからそれは止めておいた。
出すだけ出して満足したらしい男の子は、飽きたのかまたテレビに釘付けになっている。
お願いだから見ないでね、と念じながらゆっくりとポーチへと戻していった。
-------
幼い頃のセンラさんが可愛いと言って頂けたので☆
977人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おかゆ*(プロフ) - 番外編ありがとうございます!小センラさん大好きだったので悶えました……無理しない程度に頑張ってください (2019年10月9日 12時) (レス) id: 8572672a4d (このIDを非表示/違反報告)
関西風しらすぅ@坂田家 - 言葉喋るショタより何も喋らずに言葉理解してなかったり仕草で感情表現するショタの方が天使よな。まぁつまり神ってことよ。何のご褒美ですか。平日の夜中4時ににやけながらこれ読むってただの変態なんですけど。 (2019年6月6日 4時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - あのんさん» ありがとうございます!コメント頂けると励みになります(;o;)これからも楽しんで頂けると嬉しいです! (2019年5月26日 20時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あのん(プロフ) - とても好きです!!読む度癒やされてます! (2019年5月26日 20時) (レス) id: 2726eacb2c (このIDを非表示/違反報告)
月希(プロフ) - あーりんさん» 全然!!気長に待ってます!! (2019年5月22日 0時) (レス) id: 106e1f2421 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あーりん | 作成日時:2019年5月17日 21時