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たどたどしい言葉でさみしかった、さみしかったとついてまわる彼はすごく可愛い。

いつもはダメなことと理解してついてこなかった着替えにまでついてこようとする。
わかったからちょっと待ってというとしぶしぶといった感じでドアの前で待っていてくれた。

「服、買わなきゃね」

着替え終わって部屋を出た瞬間に抱き止められてふと思った。

もう私の持っている1番大きいTシャツでも小さい気がする。

「?」

よく使う言葉しか分からないのか所々わからない、といった顔をする。

小さい時に戻ったような表情に何故か安心して頭を撫でたら嬉しそうに笑ってくれた。

昨日みたいに彼がお風呂に入ってる間にご飯を作ってしまう。
手軽に済ませたご飯は早く作り終わってしまった。
一緒に食べたいし、今のうちに資料を打ち込んでしまおうとノートパソコンを開く。

しばらくして、ドライヤーを持って彼がソファの下に座った。

「乾かして欲しいの?」

うん、とドライヤーを私の方に差し出したので受け取るとくるん、っとテレビの方を向いて待っている。

優しく髪を乾かしながら、大きくなった背中を眺める。
ぼーっとして同じところばかり乾かしていたのか、不思議そうにこちらを振り返る。

「あ、、、ごめん。ちゃんと乾かすね」

小さく笑うと私の足に腕を組んで顎を乗せて上目遣いで見上げてきた。


(え、可愛い...)

乾かし始めると目を閉じているけど口角は上がっていて笑っているのがわかる。

「はい、終わり」

ドライヤーをオフにして目を閉じたままの彼の髪をゆっくり梳いていく。

こてん、とそのまま足に頭を乗せた彼に梳いていない方の手を握られる。

大きくなった手は私の手を優しく覆う。
少し筋の張った甲と長い指は人の手となんら変わらない。

(男の人の手だ...)

もう片方の手で緩く握られた私の服の裾で本当に寂しかったんだなぁと実感する。

仕事中、何回もこの時間のことを考えた。

ゆっくり髪を梳く手を止めると、ぎゅ、と手を握られてまだ撫でて欲しいと言われてるような気がして再び頭を撫でる。

そのまま寝てしまうんじゃないかと思うくらい目を閉じて微動だにしない。

それでも優しい今日楽しみにしていたこの時間を止めたくなくて、私も彼の髪を優しく撫で続けた。

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設定タグ:浦島坂田船 , センラ , 歌い手   
作品ジャンル:恋愛
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おかゆ*(プロフ) - 番外編ありがとうございます!小センラさん大好きだったので悶えました……無理しない程度に頑張ってください (2019年10月9日 12時) (レス) id: 8572672a4d (このIDを非表示/違反報告)
関西風しらすぅ@坂田家 - 言葉喋るショタより何も喋らずに言葉理解してなかったり仕草で感情表現するショタの方が天使よな。まぁつまり神ってことよ。何のご褒美ですか。平日の夜中4時ににやけながらこれ読むってただの変態なんですけど。 (2019年6月6日 4時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - あのんさん» ありがとうございます!コメント頂けると励みになります(;o;)これからも楽しんで頂けると嬉しいです! (2019年5月26日 20時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あのん(プロフ) - とても好きです!!読む度癒やされてます! (2019年5月26日 20時) (レス) id: 2726eacb2c (このIDを非表示/違反報告)
月希(プロフ) - あーりんさん» 全然!!気長に待ってます!! (2019年5月22日 0時) (レス) id: 106e1f2421 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あーりん | 作成日時:2019年5月17日 21時

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