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無くしたときに。4 ページ4

外は雨。俺は雨が嫌いだ。髪がいつも以上に跳ねる。とかではなく、単純に嫌な思い出が多いからだ。

今でもアイツに殴られた感覚をはっきりと繊細に覚えている。
Aの限界を超えた辛そうな顔もはっきりと覚えている。


時間が解決してくれる。なんて周りのやつらが口を揃えてそう言った。実際、そんなことも無く、Aが土方と一緒に消えてから二年が経った。ふとしたときに思い浮かぶのはAしかいない。




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「...」






俺は呆然として雨に打たれる。愛してる?って、いや、愛してるに決まってんだろ。なんでわかんねぇんだ。泣くことは我慢しているが、雨と混ざりあってわからないかと思い、雨に甘えて声を噛み殺して泣いた。




言葉が...足りなかったんだ、俺ァ...


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あれから後悔をし続け早二年。俺はA以外の女と一切付き合わなかった。俺に言い寄ってくる女はまぁまぁいる。別れたと噂が広まり、ここ一番と俺を慰めにきた。それが、鬱陶しかった。





「銀さん!雨だからってダラダラしないでくださいよ!」






「雨だからこそ...雨だからこそ嫌なんだよ」






俺は椅子に座り、窓を眺める。鬱陶しい。だから雨は嫌いなんだよ。






「A...帰ってこねぇかな」






「無理ですよ。あんたの変な中二心のせいでAさんはとても傷ついてるんですから」





しょうがねぇだろ、とも言えない。こんなへたれた俺のせいで誰も幸せになっちゃいねぇ。
目を瞑ると思い浮かぶのはAしかいない。






「30手前にしてウジウジしてるとかキモいアル」






アイツが世帯持ってたらどうしよう、誰かと笑いあっていたらどうしよう。俺とより幸せに暮らしていたらどうしよう、と考えてしまい、日常を過ごすのにも支障が出てきた。俺がウジウジしてんのにも理由がある。






「こえーんだよ、Aから拒絶されんのが。...一度、大事なやつを......Aの手を離した俺が、また掴んでいいのかって、葛藤してやがらァ」







自虐的に嗤う。土方くん辺りが狙ってそう。こんな俺よりもアイツらとくっついた方がAが幸せかもしれねぇな。







「銀時、」









Aが俺の名前を呼ぶ記憶を脳内から再生した。









ごめんな、俺が、あまりにも弱いせいで。









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作者名: | 作成日時:2021年4月9日 16時

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