°92° ページ43
不意に頭上にむさ苦しい熱を感じた
吸い寄せられるように上を向く
虚なオレの瞳には木の皮のような硬い指先とその奥の赤汚れた顔、感情を通さない青い目が写った
青い目を透かして、その先の空を見た気がした
一瞬だけ視界が開けて空がグワンと近付いた
次の瞬間予想だにしなかった凄まじい轟音が辺りを震わせ、砂埃がオレの空をかき消した
砂埃と煙が揺らぎながら薄くなっていくにつれてぴくりとも動かない巨人の姿が露わになった
猫の尻尾ほどの太さのワイヤーが張り巡らされている。まるで蜘蛛の巣にかかった哀れな虫だ
その感情を通さない瞳は地を見つめ、唇は微かに開いている
じわじわと高揚感が湧いてくる
それに遅れて混乱と衝撃が表れ、慌てて先輩方の顔を見る
どの顔にも衝撃と強い達成感、誇りが表れていた
これが調査兵団
オレの憧れ続けた調査兵団なんだ
身体中を駆け巡る高揚感をそのままに、オレは森の奥へと進んだ
木の上に立ち、その安定感に少しばかり驚く
朝から馬の上に乗って駆けずり回っていたわけだから無理もない
足場の安定感に伴って心も落ち着いてきた
確かにあの巨人を捕らえられたのならそれはとんでもないことだ
ただ、それにしても人が死に過ぎた
見るも無残な死を迎えた人たちの断末魔と血しぶきが嫌でも目に浮かぶ
それに、きっと、いや、間違いなくあの人たちだけではない
幾つもの班が壊滅し、何人もの人が殺されたはずだ
生憎というべきか、幸いにもというべきか、オレは104期生のあいつらがどこの位置についているのかを知らない
きっと生きていると希望を持つことも、全員死んだと絶望することも、どちらも妨げるものがない
これがなにを意味するのか、後でどんな意味を持つことになるのかこの時オレは分かっていなかった
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すず(プロフ) - ゆっきーさん» コメントありがとうございます！終わっちゃうんです…私も寂しいですが、最後までお付き合いいただけたら嬉しいです！ (2020年3月5日 19時) (
レス) id: 5963ed58b4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっきー - え、終わっちゃうんですか、、、寂しい(；ω；)最後まで頑張ってください！！ (2020年3月4日 22時) (レス) id: 6a0acf7ad8 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - ルミさん» コメントありがとうございます！夢主はかなりズレた性格なので書くのがなかなか難しくて‥笑 そう言っていただけると嬉しいです！ (2018年8月8日 23時) (レス) id: 5963ed58b4 (このIDを非表示/違反報告)
ルミ(プロフ) - この小説、大好きです！特に夢主ちゃんのマイペースな性格が可愛くて、、、応援しています！頑張ってください (2018年8月8日 18時) (レス) id: 3f807c065c (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 沙羅さん» コメントありがとうー！！嬉しすぎる( ；∀；)忙しくて沙羅ちゃんの小説も読めてない‥‥テスト終わったら一気読みだな！お互いに頑張ろう！！ (2017年9月14日 19時) (レス) id: 5963ed58b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すず | 作成日時：2017年8月24日 16時
