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「……で、どうするか決まった?」






火葬中の待ち時間、悠仁と私は建物の外に出て再び五条先生の話を聞いていた。

投げかけられた質問に、悠仁が俯く。






「……こういうさ、呪いの被害って結構あんの?」


「今回はかなり特殊なケースだけど、被害の規模だけで言ったらざらにあるかな」






二人の淡々とした会話を聞きながら、私はぼんやりと煙突に昇る灰色の煙を眺めている。


……有機物が燃えていく匂いは、苦い味がする。






「……呪いに遭遇して普通に死ねたら御の字。ぐちゃぐちゃにされても、死体が見つかればまだマシってもんだ」






そんな残酷な言葉を聞いて、悠仁はどこか辛そうに表情を強ばらせていた。


こんなことを聞いてしまえば、きっと誰だって恐怖する。

故人を形あるものとして供養することができている私達は、本当に恵まれているのだと改めて実感した。






「宿儺の捜索をするとなれば、凄惨な現場を見ることもあるだろうし……君がそうならないとは、言ってあげられない」






悠仁は呪いを取り込むため、各地に散らばった「宿儺の指」を探さなければならないと先程先生に聞いた。

まだ思春期も過ぎない青年に向け言い放たれたその言葉は、きっとあまりにも重いものだと思う。


かくいう私も、これからのことについて迷いが無いかと問われれば、首を縦に振る自信なんてない。


それでも運命というものは時に悲惨で、私達にそれなりの選択肢をくれるとは限らないのだ。






「……まあ、好きな地獄を選んでよ」





天国だとか地獄だとか、そういう宗教じみた言葉を信用していなかった私からすれば、正直馬鹿らしいと感じたその言葉。


それでも悠仁は一人どこか思い詰めたような表情で、俯くように地べたをただ眺めていた。







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たくさんの評価やお気に入り、ありがとうございます。
コメントもしっかり見ております(めちゃめちゃ嬉しい)

決意→←最後のお別れ



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いか焼き - 好きです!!! 最高すぎます、、、応援してます!今から2を読んできます!楽しみすぎる…! (2022年7月4日 2時) (レス) @page50 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 宿儺の声が頭の中で聞こえたらワイある意味死んでう( ´ཫ`)って思いながら見ました←めっちゃ面白いです!!応援してます( ˃ ˂ ) (2022年1月25日 0時) (レス) @page31 id: dce21dc0b1 (このIDを非表示/違反報告)
古椎エゴ(プロフ) - Tomorrowさん» ご指摘ありがとうございます。変換ミスしていたみたいです!知らせていただき助かりました! (2022年1月24日 17時) (レス) id: c3c7b307dc (このIDを非表示/違反報告)
Tomorrow(プロフ) - コメント失礼します。とても面白くて何度も読み返してます!ところでなんですけど、祥子ではなく硝子だった気がします!間違えてたら申し訳ないです! (2022年1月24日 17時) (レス) @page30 id: 81fe567fc7 (このIDを非表示/違反報告)
ミーコ(プロフ) - 面白いです!宿儺推しなのでこの話はとても好きです!がんばって書いてくださいね!応援しています! (2022年1月23日 23時) (レス) id: b974f3c01e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年1月22日 17時

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