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制服 ページ33

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「いやあ、待たせたね!思ったより長引いちゃってさあ」






それからしばらくベッドの上でうだうだしていると、部屋のドアが開かれいつも通りのテンションの五条先生がやってきた。

まだ眠気の残る頭には少しうるさいくらいの声だ。


とは言え、頭の中に直接叩き込まれるより全然マシだが……。







「疲れきった顔してるね。なんかあった?」


『いや……まあ、はい。色々と』






私は五条先生の言葉に答えながらも、眠気に負け大きなあくびをする。

正直色々ありすぎて、頭は追いつかないし疲労感が凄い。

とりあえず一回ちゃんと休みたいのだがそうもいかないらしく、そんな私を見ていた五条先生の手から黒に近いネイビー色をした服のようなものが手渡された。







『先生、これは……?』


「ここの制服。間に合ったみたいだから持ってきたんだ」






包装され畳んであったそれを広げると、あらわになったのはセーラー服のような形をしている制服。


胸元に揺れる三角タイは暗めの赤色をしていて、その結び目には独特のデザインをした金色のボタンのようなものがついている。多分校章だろう。

そしてセーラー服の代名詞とも言える大きな襟にもタイと同じ赤色で線が入れられていた。







『へえ……ここの学校、セーラーなんですね。なんか新鮮』


「いや違うよ」


『……え?』






へらっとしながら言った五条先生に向け、私は間の抜けた声をもらす。


……違う、とは。じゃあこの手渡されたセーラー服はなんなんだよ。






「実はウチの制服って頼めば色々カスタムしてもらえるんだよね」


『カスタム?私そんなの頼んでませんよ』


「うん。だから僕の独断と偏見で見繕ったの」






“独断と偏見“って、最悪のオンパレードじゃないか。


そもそもカスタムできるなんて話聞かされてなかったし。

本当、なんでもありだなこの人……教師ってもっと堅物揃いなんじゃないの?普通。






「んじゃ、僕外で待ってるから!着替えたらおいで〜」






それだけ言い残し、部屋から出ていってしまう五条先生。


取り残された私は、渡された制服を抱えながら今日一番深いだろうため息を吐いた。







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いか焼き - 好きです!!! 最高すぎます、、、応援してます!今から2を読んできます!楽しみすぎる…! (2022年7月4日 2時) (レス) @page50 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 宿儺の声が頭の中で聞こえたらワイある意味死んでう( ´ཫ`)って思いながら見ました←めっちゃ面白いです!!応援してます( ˃ ˂ ) (2022年1月25日 0時) (レス) @page31 id: dce21dc0b1 (このIDを非表示/違反報告)
古椎エゴ(プロフ) - Tomorrowさん» ご指摘ありがとうございます。変換ミスしていたみたいです!知らせていただき助かりました! (2022年1月24日 17時) (レス) id: c3c7b307dc (このIDを非表示/違反報告)
Tomorrow(プロフ) - コメント失礼します。とても面白くて何度も読み返してます!ところでなんですけど、祥子ではなく硝子だった気がします!間違えてたら申し訳ないです! (2022年1月24日 17時) (レス) @page30 id: 81fe567fc7 (このIDを非表示/違反報告)
ミーコ(プロフ) - 面白いです!宿儺推しなのでこの話はとても好きです!がんばって書いてくださいね!応援しています! (2022年1月23日 23時) (レス) id: b974f3c01e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年1月22日 17時

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