Prologue「ともしび」 ページ1
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「ねえA。あんたの弟、また高木に絡まれてるみたいだけど放っておいていいの?」
教室の窓から見えるグラウンドを見渡した友人が、指差すようにガラスをコンコンと叩いた。
私がそれに流されるように資料を重ねていた手を止め窓の外を覗けば、真っ黒な鉄の球体を躊躇せずぶん投げる弟の姿が目に入る。
ああ、またやってるよ。心の中に浮かんだ台詞はそれだけ。
あいつの人間離れした所業は今に始まったことではないし、だから今更何を見たって私が驚くことはなかった。
『……いいの。今はこっちが優先だから』
手際良くまとめた資料をカチッとホチキスでとめながら吐いた軽いため息が、夕暮れに消える。
生徒総会資料と書かれた数十枚の紙切れ達は、未だ机の上に綺麗に並べられたまま減る気配を見せない。
あと何回こうして黙々と紙を重ね続ければ、私の仕事は終わるのだろうか。
見兼ねて手伝うと言ってくれた友人は既に作業に飽き、この有様。
きっとこのままでは、今日も病院に行くことなんてできないだろう。
こんなことになるなら周りに流されて生徒会になんか入るんじゃなかったと、今更後悔したってもう遅い。
『……また行けないって、悠仁に連絡しないとな』
「ん、今なんか言った?」
『ううん、別に。……て言うか、手伝うんだったらちゃんと手を動かしてくれる?』
窓の外を眺めて黄昏ていた友人に向け、なかば強制的に資料の山を手渡した私は、心の内の寂しさを隠すように腹黒く笑ってみせる。
早いところこの作業を終わらせて、明日こそ必ずじいちゃんのお見舞いに行く。
そう決めたからには、面倒なんて弱音は吐いていられないんだ。
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《っ……ごめん、姉ちゃん……じいちゃん、死んじゃったッ》
……通話の向こうの弟は、珍しく声を震わせ泣いていた。
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《プロフィール》
虎杖A(17)
ピンクの強い茶髪のロング(少し癖毛)。
虎杖悠仁の実姉。悠仁とは年子。
二年生ながら生徒会で副会長を務めていた。
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いか焼き - 好きです!!! 最高すぎます、、、応援してます!今から2を読んできます!楽しみすぎる…! (2022年7月4日 2時) (レス) @page50 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 宿儺の声が頭の中で聞こえたらワイある意味死んでう( ´ཫ`)って思いながら見ました←めっちゃ面白いです!!応援してます( ˃ ˂ ) (2022年1月25日 0時) (レス) @page31 id: dce21dc0b1 (このIDを非表示/違反報告)
古椎エゴ(プロフ) - Tomorrowさん» ご指摘ありがとうございます。変換ミスしていたみたいです!知らせていただき助かりました! (2022年1月24日 17時) (レス) id: c3c7b307dc (このIDを非表示/違反報告)
Tomorrow(プロフ) - コメント失礼します。とても面白くて何度も読み返してます!ところでなんですけど、祥子ではなく硝子だった気がします!間違えてたら申し訳ないです! (2022年1月24日 17時) (レス) @page30 id: 81fe567fc7 (このIDを非表示/違反報告)
ミーコ(プロフ) - 面白いです!宿儺推しなのでこの話はとても好きです!がんばって書いてくださいね!応援しています! (2022年1月23日 23時) (レス) id: b974f3c01e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀛 | 作成日時:2022年1月22日 17時