134話 ページ13
『……え?』
月見亭から離れて行くあてもなく歩いていたら、急に地面がなくなった。
ドスンッ!
という大きな音とともに、私の身体を衝撃が襲った。
『痛っ!』
静寂が訪れ、あたりを見渡すと、どこを見ても土、土、土。
ここでやっと自分が落とし穴に落ちたことに気づいた。
『私としたことが……足下の確認が疎かになっていました……』
今日はつくづくいいことがない。
深いため息をつきながら縄を取り出そうとして、最近仕事中と鬼狩りのとき以外は重いので持ち歩いていないことを思い出した。
しかも、深すぎていくら私でもジャンプでは上がれなさそうだ。
『……今日は今までの人生で1番最悪な日になりそうですね』
とりあえず、助けを待つしかない。
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「おやまぁ、Aさんじゃないですか」
しばらく大人しく待っていると、上から声が降ってきた。
『喜八郎くん……』
この穴を作った張本人だ。
もの珍しそうにこちらを見ている。
「珍しいですね、Aさんが落ちるなんて。今まで1回も落ちてくれなかったのに」
心なしか少し嬉しそうだ。
なんだか負けたような気がして、ムカッとする。
『…….少し油断しただけですよ。早く引き上げてください』
そう言うが、彼は動かないままだ。
「……せっかく落ちてくれたのに、すぐに引き上げるわけないじゃないですか」
そう言ったかと思うと、私を引き上げるどころか、彼自身が穴の中に飛び降りてきた。
穴の中は狭いので、自然と距離が近くなる。
「こんなに近い距離で話すのは初めてですね。Aさん?」
『喜八郎くん、あなた、わざと私に近づいてきてるでしょう。やめてください』
「……五年生や六年生とはあんなに仲がいいのに、僕はダメなんですか?」
『ひっ……』
彼は突然私の耳元に顔を近づけ、こう言った。
「竹谷先輩と荷物の中に閉じ込められたこともあるんでしょう?」
吐息が耳をくすぐる。
『何で……それを……』
「兵太夫が言っていました。それよりも……僕じゃダメな理由を教えてください。嫌いなんですか?」
竹谷さんが委員会で口を滑らせて、は組の一年生が広めたとかそんなところだろう。
後で覚えといてくださいよ……。
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超久しぶりの更新です!
1ヶ月くらい放置していてごめんなさい!
忙しくて更新できませんでした……。
次の更新はテスト明けだと思います!
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ハル - 凄く面白かったです!大変な時期だと思いますが、これからも応援してます‼︎ (3月22日 19時) (レス) id: 0fe5dcb2f7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し46937号(プロフ) - 初めまして!素敵な夢小説をありがとうございます!もしよければ忍術学園全員出動の段書いていただけませんか? (2月27日 22時) (レス) id: f091a3aa7a (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - はじめまして。天女になった蝶柱第1章から見てます。リクエストなんですけどヒロインちゃんと1年は組がお茶会を開きそれに1年い組とろ組とそれぞれのクラスの先生が参加するが見たいです。 (2023年3月6日 18時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - 蘭檸さん» ありがとうございます!亀更新ですが、これからも少しずつ書いていくのでぜひ読んでくださると嬉しいです! (2023年1月14日 18時) (レス) id: 90634de060 (このIDを非表示/違反報告)
蘭檸(プロフ) - 面白くて一気に読んでしまいました!更新楽しみにしてます! (2023年1月2日 16時) (レス) @page16 id: 9728c679fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麗羅 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aji391/
作成日時:2022年4月25日 22時