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△ ふたりきりの寝床※ ページ22

どうにかこうにか仲直りできたわたしたちは、夜中に互いのどちらかの部屋へ忍び込むことが日課になっていった。



「いいなぁ。善くんは男の子で」



 舐めていたものを口から離して、じっと見つめる。女のわたしには無いもの。善逸がきょとんとする気配。暗がりでも琥珀が潤んで「もっとして」って欲しがっているのがわかる。



「これ、わたしも欲しかった」



 男の子に生まれたら、どれだけよかったか。思い出したくもないのに、じいちゃんに今日言われたことがフラッシュバックする。「縁談の話が来ててな」と切り出された。「Aが美人だって噂を聞きつけたらしいぞ。お前は器量も愛想もいいし、ああいう大金持ちの男の嫁になるにはもってこいだ。そりゃワシの本音としては鬼狩りになってもらいたいところだし、善逸と結婚してもらえたら嬉しいが、おまえのしあわせを考えるとな……」



 かなしかった。あのじいちゃんから、大好きなじいちゃんから言われたから、より一層。わたしが男だったらしあわせの形はもっと自由だったはずなのに。せっかく美人なんだからって、好きでこの顔に生まれたんじゃないし。



「……Aちゃんは、女の子に生まれたのが、いやなの?」

「……そんなこと、ないよ」



 あまりにも情けなくて今にも消えそうな声で、これじゃあとても誰の耳にも届きそうにもない。だけど人並み外れた善逸の優秀な耳は、ちゃんと拾ってくれた。



「何があったのか知らないけど、俺はAちゃんが女の子でよかったと思うよ。こんなに柔らかくて……おっパイおおきくて……俺よりうんとちっちゃくて……すごくかわいい。もしAちゃんが男でも、そりゃまあ、愛せる自信はあるけどさ。せっかく女の子のAちゃんに会えて、こうして床につけた俺は、メチャクチャしあわせだ」

「……ありがと」



 善逸にそう言われると、救われる気がする。この体でよかったと思える。柔らかくてもろい肉体にも価値が生まれる。大丈夫だよ。そんな顔しないで。善逸の言葉と、その手があるだけで、わたしはもう、大丈夫。やさしくしなくていいよ。すぐ壊れたりしないから。


続きをしよう。善逸。

△ じいちゃん乱入→←△ ヤンデレ 対処法



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あき - うわぁ、HUNTERHUNTERも書いてくれるなんて……🥹🥹 (2023年1月30日 14時) (レス) @page50 id: 099b645bba (このIDを非表示/違反報告)
まっひぃ - 善逸のそういう所好きだぁー!😁かわええ (2021年11月11日 15時) (レス) @page48 id: d24aae8d9d (このIDを非表示/違反報告)
ひとみちゃんDX(プロフ) - 今まで読んだ中で一番好き! (2021年10月29日 12時) (レス) id: 0e9cb43b28 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ割り人形 - わあわあ好きだあ途中どうなったのってなったけどちゃんとハピエンで良かったああうわん嬉しすぎて嬉し涙が…というかヒロ◯カの小説も書いていらっしゃるなんて!今すぐ読んできます!あ、この作品めっちゃ良かったです!好きです!(唐突の告白 (2021年9月12日 7時) (レス) id: 7c01fc8068 (このIDを非表示/違反報告)
朝霧 sud .(プロフ) - とっても素敵でした。 (2021年9月9日 15時) (レス) id: a463316156 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:有希 | 作成日時:2019年10月4日 22時

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