△ じいちゃん乱入 ページ23
仰向けにされながら覆いかぶさる彼の背中を引っ掻いていると、突然ふすまが開いた。えっ。わたしと善逸はなんの前触れもなくさしこんできた光に、目が追いつかない。逆光の中でふすまを開けた人物のシルエットが見えてくる。
「じいちゃんのお帰りだぞぉ!」
おいおいおい。盛り上がってる最中だっていうのにベロンベロンのじいちゃんが乱入してきた。善逸はあわててわたしを布団のなかに押し込めた。窒息しかけた。テメェ覚えてろ。
「おかえりじいちゃん!って酒くさっ!はやくここ出て自分の部屋いってすぐ寝て!!」と善逸が早口で追い出そうとするけど、相当酔ってるみたいで、
「……うーん、なめるな、鱗滝、まだまだ飲めるわい」とか何とか、居酒屋の席だと勘違いしている。
「ちょ、ちょっと。これじゃ着物を着れないよ」
脇腹をつついて善逸に小声で伝えても「そっちでなんとかして」と無茶を言われた。押し問答しているうちにじいちゃんがフラフラと寄ってきて布団のうえに倒れてきた。潰される。ぐえ。
「……鱗滝、ワシはな、あの子たちがかわいくって仕方ないんじゃ」ってじいちゃんは布団の中に潜むわたしの存在にも気づかないで、ボソボソと何やら語りだした。
「鱗滝。ワシは想像するんだ。いつかあの子たちがお館様のお役に立ち……陽のもとで暮らすことを。しあわせに生きろ、しあわせに死ね。老い先短いワシの望みはただそれだけ。ふふ。我ながら強欲なジジイだの」
「……じいちゃああん!!!」
とつぜんの深イイ話に涙が止まらない。わたしは布団から飛び出して、大好きなじいちゃんに抱きついた。
「Aちゃん!!片乳出てる!!」
「アッ、やだ善逸、じいちゃんの前で続きなんて……」
「ちがう!」
ああああ。善逸に乗っかられたわたしが重力に従ってじいちゃんを押し倒した。もう大惨事。ごつんと頭をぶつけたじいちゃんが黙りこくっちゃったので一瞬不安がよぎったけど、すぐに目を覚ました。厄介なことに酔いも一緒に冷めたらしい。
「……なんで善逸の布団に、Aがいるんだ?」
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あき - うわぁ、HUNTERHUNTERも書いてくれるなんて……🥹🥹 (2023年1月30日 14時) (レス) @page50 id: 099b645bba (このIDを非表示/違反報告)
まっひぃ - 善逸のそういう所好きだぁー!😁かわええ (2021年11月11日 15時) (レス) @page48 id: d24aae8d9d (このIDを非表示/違反報告)
ひとみちゃんDX(プロフ) - 今まで読んだ中で一番好き! (2021年10月29日 12時) (レス) id: 0e9cb43b28 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ割り人形 - わあわあ好きだあ途中どうなったのってなったけどちゃんとハピエンで良かったああうわん嬉しすぎて嬉し涙が…というかヒロ◯カの小説も書いていらっしゃるなんて!今すぐ読んできます!あ、この作品めっちゃ良かったです!好きです!(唐突の告白 (2021年9月12日 7時) (レス) id: 7c01fc8068 (このIDを非表示/違反報告)
朝霧 sud .(プロフ) - とっても素敵でした。 (2021年9月9日 15時) (レス) id: a463316156 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:有希 | 作成日時:2019年10月4日 22時