【wrwrd!】深く長く、愛を吐く (ページ24)

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Ⅳ ページ24

案の定、座敷に戻るとコネシマさんから、
『君が出て行った後すぐAちゃんが出て行ったから、背中でもさすられながら吐いてんのかと思ったわ。』
と言われた。

『そんなわけないじゃないですか！ちょっと休んでただけですよ！』と誤魔化した数分後、鬱さんが誰にも気付かれないように外に出ていったことに私だけは気付いた。
…きっとAさんのところに行ったのだろう。

本当に、素敵なカップル。
そして、やっとお開きになった忘年会。
皆店を出れば『良いお年を！』と言葉を交わして散っていく。
そんな中、コネシマさんトントンさん鬱さんの同期3人組。
そしてAさんの4人が輪になって話しているのを見つけた。
漏れ聞こえる会話を聞く限り、4人で二軒目に行くらしかった。

だから、行ってしまうその前に、

「あの、鬱さん。ちょっといいですか？」

と声を掛けた。

「…ん？どないしたん？」
優しく微笑む鬱さん。
…そう、声を掛けた時のこの顔が好きだったの。

「仕事の話か？」
とトントンさんが茶化す。
…皆がいるこの場で、言わなければいけないのだろうか。
なんて、口を濁していたその時。

「鬱君、私達先行ってるね？お店決まったら連絡するから。」
Aさんがそう言いながら、コネシマさんとトントンさんを引っ張って行ってくれた。
「おー、わかった。」
鬱さんは三人に手を振って見送った。

なんとなくだけど、

Aさんは、きっと全て分かっていたんだろうなと思った。