【wrwrd!】深く長く、愛を吐く (ページ1)

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いくじのない貴方へ【ut】ページ1

俺の上司はすごくできる女性だ。
男優勢の傾向がいまだに強く残るうちの会社で、臆することなく男性陣に意見をし、仕事ぶりも認められて今の地位までのぼりつめた。
ミスした姿は見たことがないし、後輩からも慕われている。

もちろん俺もその一人だ。

「Aさん、できました。確認お願いします。」
完成した資料を渡しにいけば、
「ありがとう。確認しておくから、そこに置いて。」
とパソコンから目を離さずに言われた。

それが少し寂しい、なんて。

「わかりました。」
積み重なった書類の山の一番上に乗せて、そのまま自分のデスクに戻る。

「鬱君、鬱君。」
席についてすぐ、そう小さく名前を呼ぶ声が聞こえてそちらを向くと、隣のデスクの同期入社の女がこちらに顔を寄せていた。
何か言いたいことがあるのだろうと察して耳をそちらに近づけければ、
「Aさんって綺麗だけど、冷たいよね～。こっちだって他の仕事あるのにあの人に頼まれたら優先してやらなきゃいけないし、やってもあまり感謝もしてないみたいだし。」

後輩に慕われている、と言ったが、もちろん全ての人に好かれる人間などいない。
耳を塞ぎたくなるような言葉達。

…いわゆる『女の嫉妬』だろう。

美人で、おまけに仕事もできる非の打ち所のない女性。
悪く言いたくなる気持ちもわからなくはないが、だからといって普通の声のトーンで話すなんて。
こいつの神経を疑った。