疑惑、焦燥 ページ12
『高峯翠』
「明後日にある祭りに出店するから、手伝ってほしい。」
親にそう言われたのは、ちょうどAを祭りに誘うためのメールの文面を考えている最中だった。
ぽかんと大口を開ける俺に怪訝な顔をしつつ、親は俺の部屋から出ていこうとする。
その腕を慌てて掴み、目線で訴えるが、逆らえるはずもなかった。
「用事があるの？」
『いや、えっと……』
言えない。クラスの女子を誘ってその祭りに行くつもりだなんて言えない。
中学でも特定の友達をつくってはいなかったし、人付き合いが面倒な俺がクラスメートと行く、と言ったところで信じてもらえるはずもない。
それこそ、いざそんな目に遭いそうになったら適当な理由をでっちあげて断る俺が容易に想像できるのだ。
「ないなら手伝って。」
『……はい。』
ーーー…
そして手伝っていたらこの仕打ち。何で朱桜くんといんの？
「翠じゃん。どうしたんだこんなとこで。」
『う、うちの手伝い。八百屋だから……』
「えっ、そうだったんだ。初めて知った。」
母が買い出しに出かけてて良かった、と安心しながら、ふたりの様子を見つめる。
たれをとうもろこしにぬり、焼き直しをしていると、ふたりは仲良さげに話していた。
ていうか、このふたりって仲良かったっけ。
俺が知らないだけ……？ いや、でもこんな……
祭りにふたりだけで来るって、もしかして恋人同士だったり……するのかな。
焼き終わったとうもろこしを網からあげ、持てるように茎部分をアルミホイルで包む。
３つをパックに移し終わって、それをAに差し出すと、「ありがと」と笑ってくれた。
そういえば、Aは浴衣着てないんだ……。
「これ、代金です。」
『あ、ど……どうも。』
「……」
『……？』
朱桜くんは意味深に俺を見つめると、「A、行きましょう。」と、Aの手を引く。
Aは突然のことに困惑しつつも、俺に手を振ってくれた。
けど、満足に振り返すことはできなくて。
『今の……牽制？』
絶対零度の冷たい視線は、確実に俺を射抜いていた。
見定めるような、俺の正体を見抜かんとしているような。
もし、朱桜くんとAが付き合っているなら、そんな行動も合点がいく。
それにお似合いだ、傍から見ても。
それなのに。
『俺……何やってるんだろ。』
何かもわからない衝動が、身体を巡っていく感覚だけを覚えた。
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生しょうが(プロフ) - サクラさん» 細かいところに目をつけてくれて自分こそBIGLOVEです…！！そのお話は仰る通りで、告白されて翠くんのことしか考えられない彼女と、自分のことを認めてもらった(自分の色を見つけた)翠くんを翠色としてタイトルと掛けてます！翠くんの裏話は完結後たくさん話しますね！ (3月26日 15時) (
レス) id: 3da0e90f37 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 初コメ失礼します！作者様のお話、本っ当に大好きです！LOVE！これからも大好きです！ところで、ど〜っしても気になることがありまして！「すいしょくにそまる」というお話のタイトル、もしや翠くんの「翠」という字が「すい」とも読めることにかけてたりしますか…？ (3月25日 16時) (レス) id: ea0cda33d2 (このIDを非表示/違反報告)
生しょうが(プロフ) - 綾さん» えぇ、そんなに楽しんでもらえて嬉しすぎます〜……！コメントなんてあればあるだけ幸せなのでじゃんじゃんいただきたい！！これからも頑張るので、いっぱい楽しんでくださいね！！ (8月16日 18時) (レス) @page49 id: 9fefad8449 (このIDを非表示/違反報告)
綾(プロフ) - 何度もコメント失礼します💦物凄いスピードでここまで読み進めちゃいました笑ドキドキハラハラ、続きを読むのが楽しみです！！ワクワクをありがとうございます！！ (8月16日 15時) (レス) @page49 id: 0b59f96bc0 (このIDを非表示/違反報告)
生しょうが(プロフ) - 妃瀬さん» うわぁ、めちゃくちゃ嬉しいことばかり言ってくださる……！ふわふわも良いけど、元ヤン系の可愛さももっと広まってほしいですよね！！これからも更新頑張っていくので、良ければ見届けてください (2023年5月2日 17時) (レス) @page29 id: 9fefad8449 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：生しょうが x他1人 | 作成日時：2023年3月18日 22時
