七夕の夜�� ページ4
『なし』
「ん〜……？ ぁれ、弓弦？」
「はい。おはようございます、坊ちゃま。」
「おはよぉ、って、Aは!?」
「坊ちゃま、周りをよくご覧になってください。」
寝ぼけた様子の姫宮を、伏見は微笑ましげに見つめる。
だんだん頭が冴えてきたのか、ここが自宅のベッドの上だとわかった瞬間、姫宮はがくん、と落胆した。
「も〜、何で起こしてくれなかったの、弓弦！」
「そう申されましても。起こす理由がありません。」
「うぅ、Aをお見送りしたかったの！ それくらい察してよ！」
ポカポカと胸板を叩いてくる姫宮に、伏見は愛おしそうな顔をして笑う。
その表情を見て、姫宮の身体が後ろに下がった。
「何なのその顔！ 怖いんだけど！！」
「おや、怖がらせる意図はなかったのですが。」
「だったら尚更怖いよ！ ……ん、そのパソコンなに？」
伏見から距離をとりつつも、彼の後ろにある機械に興味津々な姫宮。
伏見はさっとそれを後ろに隠す。
「仕事のレポートを書こうと思いまして。坊ちゃまをよく観察し、執事としての仕事の格を上げようかと。」
「うげえ、観察とかやめてよね。やるとしてもボクが嫌になったら絶対やめさせるから！」
「それはもちろん。坊ちゃまの生活に支障が出ては、執事の名折れですから。」
「どうだか。暴走しないでよ〜？」
やれやれ、と肩をすくめて、姫宮はベッドから飛び降りる。
「今日の夜ご飯はなに？」
「ペスカトーレです。」
「そ。ふあぁふ、眠いから早く食べちゃお……」
大あくびをしながら、自室を出て行く姫宮。
その後ろ姿を見送りながら、伏見はパソコンのほうに振り返った。
先ほどスマホに繋げて、データを移行させた写真。
『坊ちゃま』フォルダには、微笑ましいふたりの様子が写っている。
「彼女、結構鋭いんですね……『野生の勘』とは、言い得て妙です。」
姫宮の頬を、彼女が優しげな表情でつついている。
「羨ましい」という気持ちはありつつも、やはり可愛らしいことに変わりはない。
「会長さまは、Aさまのことを熟知していらっしゃる。」
しかし、まだ見ぬ彼女の可能性を探している。
「わかりづらい人ですね、本当に……」
____彼女に恨まれたとて、わたくしは責任をとりませんよ。
ふっと微笑んでパソコンをシャットダウンさせると、愛しい主君の背を追って、伏見は部屋を出る。
真っ暗になった部屋には、美しい星々が煌めいていた。
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生しょうが(プロフ) - にゃーちゃんさん» うわぁぁ！更新できず申し訳ないです！！面白いだなんて照れますね…！これからも読んでくれると嬉しいです！！ (2022年12月17日 12時) (
レス) @page26 id: 9fefad8449 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 初コメ失礼します！とても面白くて、引き込まれる様に一話から最後まで全部読んでしまいました…!!続きがとても気になります！更新頑張って下さい、楽しみにしてます！ (2022年12月14日 15時) (レス) @page25 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
生しょうが(プロフ) - 空桜さん» こ、こんな長編を一気読み…!?（大歓喜）ハマっていただけて嬉しいです！あとちょっとで投稿ペースも戻ると思うので、これからも見守っていてください…！笑 (2022年11月23日 20時) (レス) id: 1856a8e0e6 (このIDを非表示/違反報告)
空桜(プロフ) - 初めまして、更新お疲れ様です。昨日から一気読みするくらいハマってしまいました笑 イベントやスカウトを交えつつオリジナルのお話を読める作品は中々なかったので新鮮です。お知らせも読みました。ご自身のペースで無理はなさらずに頑張って下さい (2022年11月19日 21時) (レス) id: bedbd72616 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：生しょうが x他1人 | 作成日時：2022年10月29日 16時
