子ウサギと甘いフレーバー�� ページ12
『仁兎なずな』
『ふんふんふ〜ん……♪』
最高。この言葉に尽きる。
Aちんに食べてもらえたし、照れさせることもできた！
今日は頑張ったぞ、おれはえらい！
ぐっ、と両手を握りながら、廊下を歩く。
すると、曲がり角で誰かと肩がぶつかった。
『おっ、ごめんな……っ!?』
「なずな兄ィ、」
『み、みかち……影片、』
おれより少し高い上背。
いつも以上にきつく見えるその視線は、おれじゃない誰かを思い出しているようだった。
「なずな兄ィ、あんた、Aちゃんと友達なん。」
『へっ、あ、ああ。』
『友達』と言われると、少しもやっとするけれど。
おれたちの関係を客観的に見るなら、それがぴったりだろう。
けどあいつ、影片とも知り合いなのか。
……何か悔しい。
「……渡さへんよ。」
『へ？』
「やっと現れた、おれとお師さんを見てくれる子やねん。なずな兄ィにも、他の奴にも……盗られるわけにはいかんのや。これ以上、おれらから幸せぶん取らんとって！」
キッと睨みつけてくる影片。
そのまま通り過ぎようとする影片の手首を、おれは咄嗟に掴んだ。
『たしかに、おれは影片に恨まれても仕方ないことしたよ。』
「……離せや、」
『それについて言い訳する気もないし、おまえらの幸せを願う気持ちも本物だ。』
「離せ言うとるやろ……っ！」
『それでも……おれにだって、誰かを想う権利はあるだろ！』
彼女に、特別な何かを感じた、とか。
そういう大層なものじゃない。
何となく仲良くなって、何となく悩みとかさらけ出して。
会いたくなるし、楽しいことはいちばんに共有したくなる。
等身大の、高校生の……ちっちゃい恋なんだ。
『盗られたくないなら、影片がちゃんと掴んどけ。』
「……」
『おれは、おれのしたいことをする。影片もそうしろ。』
離した影片の手は、わなわなと震えている。
やるせない怒りの感情を、おれにぶつけるのを拒んでいるような、悲しい瞳。
そんな目線をそらして、影片は廊下を歩いていった。
『っ、はあぁ……』
緊張した。怒らせちゃったな、また。
先輩として情けない。影片相手にムキになって。
『それくらい好きなんだ、気づいてくれよ……』
晴れやかに笑う表情も、儚げに響く声も。
怒ってるときだって、照れ隠しする八つ当たりだって。
『おれに、独占させてほしいから。』
そう言ったらきっとおまえは、「クサいよ」って笑うんだ。
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生しょうが(プロフ) - にゃーちゃんさん» うわぁぁ！更新できず申し訳ないです！！面白いだなんて照れますね…！これからも読んでくれると嬉しいです！！ (2022年12月17日 12時) (
レス) @page26 id: 9fefad8449 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 初コメ失礼します！とても面白くて、引き込まれる様に一話から最後まで全部読んでしまいました…!!続きがとても気になります！更新頑張って下さい、楽しみにしてます！ (2022年12月14日 15時) (レス) @page25 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
生しょうが(プロフ) - 空桜さん» こ、こんな長編を一気読み…!?（大歓喜）ハマっていただけて嬉しいです！あとちょっとで投稿ペースも戻ると思うので、これからも見守っていてください…！笑 (2022年11月23日 20時) (レス) id: 1856a8e0e6 (このIDを非表示/違反報告)
空桜(プロフ) - 初めまして、更新お疲れ様です。昨日から一気読みするくらいハマってしまいました笑 イベントやスカウトを交えつつオリジナルのお話を読める作品は中々なかったので新鮮です。お知らせも読みました。ご自身のペースで無理はなさらずに頑張って下さい (2022年11月19日 21時) (レス) id: bedbd72616 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：生しょうが x他1人 | 作成日時：2022年10月29日 16時
