星降るリビング《M》2 ページ5
何でもない朝。
何気ない会話。
いつもどおりの朝食。
黄身が硬い目玉焼きも焦げたウインナーも美味しかった。
つけっぱなしのテレビで『今日の星占い』が始まって、二人で真剣に見入る。
「今日こそ、１位！」
「よしっ！こいっ！」
特別な日でもないけど、やっぱり、１位だといい事ありそうだし、気分良く一日がスタートできる。
今日は、天気もいい。
窓際は、暖かくて、きっと、お昼寝に最適。
「あーーーー！１位は、Aちゃんだー！」
大袈裟にそう言って、悔しがるとしくん。
「まぁ、あしたもあるし……。」
悔しいくせに、平気なフリしちゃって。
「あっ、ほらっ！遅れるっ！準備してっ！」
星占いが終わったテレビに表示される時刻を見て、立ち上がると、手早く食器をシンクに運んで、エプロンを外す。
としくんには、少し小さい赤い花柄のエプロン。
「ぼうしがなーーーーいっ！」
パタパタと走り回る二人の足音が心地いいリズム。
「ソファにあったよ！」
「あった！」
帽子を被って、リビングを振り返る。
その小さな手を握るとしくんの手。
「ママに、いってきます、言った？」
黄色い帽子の下をのぞき込むように、腰を屈めて優しくそう言うと、小さな手をヒラヒラと揺らして元気な声がリビングいっぱいに響いた。
「ママっ！いってきまーす！」
いってらっしゃい。
パタパタと玄関に向かう小さな背中は、あの日よりもだいぶ大きくて、頼もしい。
「いってきます。」
いってらっしゃい。
優しいとしくんの声。
目尻のシワさえ愛しくて、その頬に触れようと手を伸ばしかけて、やめた。
「A、愛してるよ。」
私も……愛してる。
いつか、また、出会う日まで。
リビングは日当たりが良くて、窓際の小さなチェストの上は、少し暑いくらい。
一番お気に入りの写真をここに置いてくれて、隣には、小さなサボテンと幼稚園で作った紙粘土のネズミ。
私がひとりでも寂しくないようにって、二人の優しさ。
ありがとう。
遠い未来でいいから、また、二人を思いきり抱きしめたい。
それまで、見守っているからね。
お日様の光の粒になって、
公園を駆け抜ける風になって、
リビングのひだまりの匂いになって、
夜空を彩る星になって……
幸せを願っているからね。
＊end＊
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植尾あい(プロフ) - nanacoさん» んふんふ(//∇//)楽しんでいただけたようでよかったです！こういう雰囲気は、藤ヶ谷くんが似合いますよねぇ。また、イチャイチャするだけのお話を書きたいなーと、思いました！ (2020年7月31日 17時) (
レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - 甘々藤ヶ谷さん！(//∇//) ごちそうさまでした、最高すぎます…(TT) ありがとうございます(TT) (2020年7月30日 23時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ナナさん» ナナさん！！！お久しぶりです！お元気でしょうか？ そうなんです！星に願いをに続いて、運命なんです！伝わってよかった(^^) 切ないけど幸せな気持ちになってもらえたら嬉しいです。 (2020年5月30日 13時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - あいさんお久しぶりです！！これは運命…と気づいた瞬間に涙が…。心がポッと暖かくなりました！！ (2020年5月30日 1時) (レス) id: 3bad9f733c (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ソフィアさん» 年下俺様生意気な渉に迫られて、メロメロですよね。年上イメージがある横尾くんですが、こんな関係も時にはありかな？と。楽しんでいただけて良かったです！ (2020年5月8日 22時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：植尾あい
| 作成日時：2018年9月12日 22時
