CHRISTMAS KISS《2》1 ページ6
仕方ない。
最初からわかっていたことだ。
もう、何度目かわからなくなったほど繰り返し、ニコニコキラキラな笑顔を振りまいて歌って踊る、テレビ画面の向こうのカレを見ながら自分に言い聞かせる。
カレの仕事を理解した上で、隣にいることを選んだのは、私だ。
流れるクリスマスソング。
CMですらクリスマスモードなのに、私は、ひとりでソファに座って膝を抱えている。
目の前のローテーブルには、一人分のチキンとシャンパン。
これじゃあ、酔うに酔えない。
「……はぁ。」
ため息をついて、グラスに残ったシャンパンを一気に飲み干した。
諦めきったクリスマス・イブをすぎて、クリスマスですらあと一時間程で、終わってしまう。
毎年、期待はしないようにしていたけど、今年は、僅かな期待すら打ち砕くお仕事からのお仕事……。
ありがたいことだよ?
そう言って、少しだけ申し訳なさそうな顔をした高嗣を思い出す。
「ありがたいことですけど……。」
年末年始の歌番組、特番、そして、今年はラジオ。
まるまる潰れたクリスマスは、カノジョとしては、ありがたいことではなかった。
こんなことなら職場の同期のクリスマスパーティーという名の合コンに行けばよかった……。
不貞腐れたその瞬間、空のシャンパングラスを逆さに映したスマホが鳴った。
「……遅いし。」
待ちくたびれたカレからの連絡に、文句を言いながら、その名前を映す画面に指先を躍らせた。
「もしもーし。」
呑気な声。
「……もしもし。」
不機嫌な声で、浮かれる気持ちを隠して答えた。
「寝てた?」
「寝てない。」
寝てたのは、高嗣の方でしょ?
「酔っ払ってる?」
「酔っ払ってない。」
嘘。
本当は、少しだけ酔ってる。
「怒ってる?」
「怒ってない。」
これは、半分、嘘。
「……寂しかった?」
少しだけ、間があって、きっと、ものすごく照れながら言った一言。
「寂しかった。」
これだけは、本心。
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植尾あい(プロフ) - nanacoさん» んふんふ(//∇//)楽しんでいただけたようでよかったです!こういう雰囲気は、藤ヶ谷くんが似合いますよねぇ。また、イチャイチャするだけのお話を書きたいなーと、思いました! (2020年7月31日 17時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - 甘々藤ヶ谷さん!(//∇//) ごちそうさまでした、最高すぎます…(TT) ありがとうございます(TT) (2020年7月30日 23時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ナナさん» ナナさん!!!お久しぶりです!お元気でしょうか? そうなんです!星に願いをに続いて、運命なんです!伝わってよかった(^^) 切ないけど幸せな気持ちになってもらえたら嬉しいです。 (2020年5月30日 13時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - あいさんお久しぶりです!!これは運命…と気づいた瞬間に涙が…。心がポッと暖かくなりました!! (2020年5月30日 1時) (レス) id: 3bad9f733c (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ソフィアさん» 年下俺様生意気な渉に迫られて、メロメロですよね。年上イメージがある横尾くんですが、こんな関係も時にはありかな?と。楽しんでいただけて良かったです! (2020年5月8日 22時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:植尾あい | 作成日時:2018年9月12日 22時