絶対的強者《2→Ki》3 ページ31
「なんてね……。そう思って微笑ましく見てたの!だから、にやけてないよっ!」
「わかったわかった。行くよ。」
少し冷たいAの指先を手繰り寄せ、包み込むように握る。
オレだけに向けられるその笑顔。
ひとりじめして、もう、誰にも渡さないから。
オレのことだけ、見てればいいよ。
***
いつもより少し賑やかな電車に、週末の夜の始まりを感じながら、数駅揺られる。
Aが最近読んだ本の話をして、オレは、来年の夏休みには一緒にスキューバしようって海の話をした。
全然違うオレたちは、全然違う趣味があって、全然違う好きな物がある。
でも、それぞれの違うところがまるでパズルみたいに凸凹とはまりあって、違う事が嫌だと思ったことは無かった。
「久しぶりじゃない?」
Aの手を引いてたどり着いた店の前でそう言った。
「うん。」
すりガラスの引き戸の向こうからオレンジ色の暖かな光が足元を照らす。
大きな木の板に、筆で大雑把に書かれたような『地鶏や』って、看板。
オレたちが出会った場所。
社内でも『美味しい店ならキタミツに聞け!』って、言われるほど食通のミツに、連れてきてもらったのは、もう、一年以上前。
もちろんハズレる訳もなく、オレの好みドンピシャで、気づけば一人でも通うようになってた。
そこで出会ったのが、A。
仲良さそうに女将さんと話をしながら、いつもカウンターの隅に座ってた。
きっと、一目惚れ。
時々、カウンターに並んで。
時々、オススメの料理を教えてくれて。
時々、会えない日が続いて。
時々、笑いあって。
時々、可愛いなって触れたくなって。
気がつけば、自然と一緒に店を出て、手を繋いだ。
しばらく足を運べずにいたから、少しだけ遠慮がちに入口の引き戸に手をかけた。
カラカラ……
軽い音を鳴らして引戸を開けると、落ち着いた雰囲気と優しい声が迎えてくれる。
「いらっしゃい……あら、ニカちゃん!久しぶりじゃない。」
「こんばんは。」
変わらず迎えてくれる空気が実家を思い出させる。
「あ!Aちゃんも!いらっしゃい!」
「ご無沙汰してます。」
隣で微笑んで会釈する彼女の礼儀正しさに嬉しくなった。
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植尾あい(プロフ) - nanacoさん» んふんふ(//∇//)楽しんでいただけたようでよかったです!こういう雰囲気は、藤ヶ谷くんが似合いますよねぇ。また、イチャイチャするだけのお話を書きたいなーと、思いました! (2020年7月31日 17時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - 甘々藤ヶ谷さん!(//∇//) ごちそうさまでした、最高すぎます…(TT) ありがとうございます(TT) (2020年7月30日 23時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ナナさん» ナナさん!!!お久しぶりです!お元気でしょうか? そうなんです!星に願いをに続いて、運命なんです!伝わってよかった(^^) 切ないけど幸せな気持ちになってもらえたら嬉しいです。 (2020年5月30日 13時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - あいさんお久しぶりです!!これは運命…と気づいた瞬間に涙が…。心がポッと暖かくなりました!! (2020年5月30日 1時) (レス) id: 3bad9f733c (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ソフィアさん» 年下俺様生意気な渉に迫られて、メロメロですよね。年上イメージがある横尾くんですが、こんな関係も時にはありかな?と。楽しんでいただけて良かったです! (2020年5月8日 22時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:植尾あい | 作成日時:2018年9月12日 22時