絶対的強者《2→Ki》2 ページ30
「お待たせ。」
ついつい、スキューバ雑誌を読みふけっていると、ポンっと肩を叩かれて、海の底から急浮上する。
「お、おぉ、びっくりしたー」
「お客様、立ち読みはご遠慮くださいね。ｳﾌﾌ」
長めのカーディガンの袖から出た指先を口元に当てて、目を細めて笑う。
「買いますー。」
手にしてた雑誌を閉じて、わざと子供みたいに言う。年上のAには、こんなオレもカワイイらしい。
「また、スキューバ？」
「うん。海の中、すげーキレイなんだよ？」
パラパラと雑誌をめくって、南の島の青い海の写真を開くと、隣に並んでいたAが顔を近づけて覗き込む。
「本当……、キレイ。」
ふわりと香る、甘い匂い。
故意に、髪に顔を近づけて、その匂いを吸い込む。
「ﾌﾌｯ お客様、立ち読みはご遠慮くださいね？でしょ？」
Aの真似して、わざと言ってみると、「もうっ！」って頬を膨らませて、オレを睨む。
「買ってくるから、外で待ってて。」
ポンッと軽く頭に手を乗せてそう言うと、恥ずかしそうに「うん。」ってうなづいた。
＊＊＊
店の外に出ると、通りの向こう側を眺めて何やら楽しそうなAが待っていた。
「何にやけてんの？」
オレの声に、ハッと口元を隠して「にやけてないよっ！」って、慌てるから、意地悪したくなる。
「めっちゃにやけてたからね？にやにやしてたよ？ﾌﾌﾌｯ」
「してないしっ！」
「してたって。こんな顔してた。」
大袈裟にニヤケ顔を作って、Aに見せると、急に真顔になって、
「高嗣、ブサイクになるからやめなさい。」
って、言うから、思わず「はい。」って返事してこっちも真顔になる。
「……向かいのカフェの二階。見て。」
「ん？」
視線でその先を指して、小声で言う。
大通りを挟んで向こう側。
窓に向かったカウンター席には、学生っぽいカップルが仲良くひとつのスマホを覗き込んでいた。
「あの子たち……付き合ってるのかな？って、考えてたの。」
「そうじゃない？」
「そうかな？高嗣は、なんでそう思うの？」
「だって、めっちゃ近いじゃん。」
肩と肩が触れそうな距離。
顔を上げれば、触れそうな鼻先。
「私には、女の子の片思いに見える。男の子は、気づいてるのかな……。」
Aの横顔がどこか懐かしそうで、少しだけヤキモチ。
ねぇ、Aもあんな顔で誰かを見てたの？
.
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植尾あい(プロフ) - nanacoさん» んふんふ(//∇//)楽しんでいただけたようでよかったです！こういう雰囲気は、藤ヶ谷くんが似合いますよねぇ。また、イチャイチャするだけのお話を書きたいなーと、思いました！ (2020年7月31日 17時) (
レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - 甘々藤ヶ谷さん！(//∇//) ごちそうさまでした、最高すぎます…(TT) ありがとうございます(TT) (2020年7月30日 23時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ナナさん» ナナさん！！！お久しぶりです！お元気でしょうか？ そうなんです！星に願いをに続いて、運命なんです！伝わってよかった(^^) 切ないけど幸せな気持ちになってもらえたら嬉しいです。 (2020年5月30日 13時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - あいさんお久しぶりです！！これは運命…と気づいた瞬間に涙が…。心がポッと暖かくなりました！！ (2020年5月30日 1時) (レス) id: 3bad9f733c (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ソフィアさん» 年下俺様生意気な渉に迫られて、メロメロですよね。年上イメージがある横尾くんですが、こんな関係も時にはありかな？と。楽しんでいただけて良かったです！ (2020年5月8日 22時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：植尾あい
| 作成日時：2018年9月12日 22時
