私の先輩《F》4 ページ12
暖かい胸。
柔らかく香る柔軟剤の匂い。
トクトクと伝わる鼓動。
状況を忘れて、思わず目を閉じて、ひとりじめした胸に体を預ける。
「……そっか。」
耳をつけた胸から伝わってくる、落ち着いた彼の声。
「Aと一緒に、シチュー食べたかったけど、帰っちゃうのか。」
「えっ？！」
慌てて顔を上げると、キッチンの鍋に視線を向けてため息をつく整った顎先が目の前にあった。
「Aに、プレゼントもあったんだけどなぁ。」
「えっ？あ、あのっ。」
抱きしめられたままジタバタする私を無視して、藤ヶ谷先輩は、話を進める。
「でも、帰っちゃうなら、また、今度にするしかないなぁ。」
大袈裟にため息をついたカレの手が、背中からするりと解けていくのを感じて、慌てて私の方からカレの背中に腕を回した。
「あのっ！私、帰りませんっ！」
想定外の大声で宣言して、ギューッと彼を抱きしめた。たぶん、私から藤ヶ谷先輩を抱きしめたのは、初めてだ。
恥ずかしくて、でも、ひとりじめ出来て嬉しくて、ニヤける頬。
「プレゼントが欲しいから？」
まだまだ、カレの意地悪は続くけど、わざとだってわかってる。
「違うよ。」
「じゃあ、なんで？」
そう言って、抱きつく私の頬を両手で包むようにして上を向かせた。
もちろん、その先には、藤ヶ谷先輩の整いすぎた顔があるわけで、一気に体中の血が顔に集まるみたいに熱くなる。
「……一緒に、いたいから。」
ボリュームダウンしていく語尾に、クスッと笑ったカレの唇が、その微笑みを保ったままで私の唇へと触れた。
……倒れそうだ。
魔法にでもかかったみたいに、ボーッとする頭で、カレを見つめていると、その手がフワリと私の髪を撫でて、ほんの少し『その先』を期待した私を置いて、呆気なく離れていった。
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植尾あい(プロフ) - nanacoさん» んふんふ(//∇//)楽しんでいただけたようでよかったです！こういう雰囲気は、藤ヶ谷くんが似合いますよねぇ。また、イチャイチャするだけのお話を書きたいなーと、思いました！ (2020年7月31日 17時) (
レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - 甘々藤ヶ谷さん！(//∇//) ごちそうさまでした、最高すぎます…(TT) ありがとうございます(TT) (2020年7月30日 23時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ナナさん» ナナさん！！！お久しぶりです！お元気でしょうか？ そうなんです！星に願いをに続いて、運命なんです！伝わってよかった(^^) 切ないけど幸せな気持ちになってもらえたら嬉しいです。 (2020年5月30日 13時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - あいさんお久しぶりです！！これは運命…と気づいた瞬間に涙が…。心がポッと暖かくなりました！！ (2020年5月30日 1時) (レス) id: 3bad9f733c (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ソフィアさん» 年下俺様生意気な渉に迫られて、メロメロですよね。年上イメージがある横尾くんですが、こんな関係も時にはありかな？と。楽しんでいただけて良かったです！ (2020年5月8日 22時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：植尾あい
| 作成日時：2018年9月12日 22時
