最強の親友《1》 ページ30
仕事が一段落して、息抜きと買い物がてら、コンビニへと向かう仕事合間の午後。
すっかり季節外れなキムチ鍋の予定がようやく決まって、『専業主婦は、余程のことがなければ暇よ。』って、言う真紀に、予定を伝えようと、久々に電話をかけた。
でも、電話をかけた本当の目的は、合鍵を早めに返してもらおうっていう下心。
2コール目で出た真紀の声の向こうに、少しざわつきを感じて、外にいることを察する。
「ひさしぶりー。」
「ひさしぶりー。」
それだけで、もう、十分な私たち。
「外だった?」
「うん。ちょっとねー。」
「キムチ鍋の予定。ニカの空いてる日がわかったから。」
「あーーー、はいはい。それ、やっぱり、私も参加しなきゃダメなのね。ハハハッ」
仕方ないなーって、笑う真紀に、少し先になる日にちを伝えると、『予定入れないようにする』って、言ってくれてホッとする。
やっぱり、私たちには、真紀の存在が必要不可欠。
ニカにとっても、私にとっても、真紀しかいないから。
頬をなでる風が、春の柔らかな暖かさで、時の流れを感じさせる。
こんな未来が待ってるなんてね……
何故かしんみりしかけて、慌てて意識をスマホの向こうの真紀へ戻して、さりげなく切り出す。
「あ、そうだ。
久しぶりに、ご飯食べに行かない?今夜とか、暇?私、仕事早めに終われそうなんだけど!」
必要以上に喋りすぎた気もするけど、私にしては、上出来な方。
「あー……、今日は、ちょっと、無理かなー。何?何か相談とかあった?」
真紀にしては、少々歯切れの悪い言い方で、それでも、私を気遣ってくれるから、さりげなく、も、隠した本題も、どうでも良くなってしまう。
頼れるのも、泣きつけるのも、叱ってもらえるのだって、真紀しかいない。
「相談……じゃ、ないんだけど……。」
そして、うっかり仕事合間だってことを忘れて、目的地直前の道端で、あの日、コンビニの前で起こった、望まない再会からの話をする羽目になった。
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りな(プロフ) - こんにちは!昨日この作品を読み始めてハマってしまいもう読み終えてしまいました!あいさんの作品大好きです!もし差し支えなければkis soulのパスワードを教えていただきたいです!20歳のにかみつ担です! (2020年1月21日 23時) (レス) id: f006de2d90 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - kanonさん» kanonさん!何度も読み返していただけて感激です!こんな長い作品を夜中に一気読みとは、夜更かしさせてしまいましたね……ニカsideも、何度も読み返したくなる作品になるよう、頑張ります! (2019年1月7日 17時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
kanon(プロフ) - 何度読み直しても2人の空間にやられます!夜中に一気に読んでぼろぼろ泣いてしまいました。ニカのワンコ力、察知能力、優しさ、言葉…彼らしさがふんだんに盛り込まれてます。ニカサイドと交互に読んであちらの続きもお待ちしてます! (2018年12月24日 2時) (レス) id: 21ebf13f97 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ナツさん» 読み返してもらえて嬉しいです!ありがとうございます!個人的に北山くんと二階堂くんのやり取りを書くのがとても楽しくて好きなので、ミツ担さんにも好きになってもらえて感激です!北山くんと彼女もいつか書けたらなぁと思ってます! (2018年8月4日 17時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
ナツ(プロフ) - 初めましてのコメント失礼致します。本当に本当に大好きな作品で事あるごとに読み返してます!あれ?私、ミツ担のはずでは!?と自分でも整理できない感情はどこへ向ければいいのでしょうか?笑個人的にはミツの彼女さんとの馴れ初めも気になります♪ (2018年8月3日 8時) (レス) id: 8a0cb53120 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:植尾あい | 作成日時:2016年6月24日 7時