タシカナモノ ページ37
「はい、交代。」
コップを手渡しながら、洗面所を出ようとすると、コップと一緒に指先を掴まれて引き留められる。
「何？」
「あの部屋、片付けた？」
視線で差すのは、やっぱり、サービスルームのドア。
もう、ほとんど片付けた部屋の中を思い起こす。
残るのは、あのソファーだけ。
「うん。あと少し。………何で？」
記憶を辿る。
ニカが開けようとしたドアを拒否して以来、この部屋に触れたことなんてない。
「急に、どうしたの？」
小さな疑問がみるみる膨らんでいく。
「ねぇ………あの部屋、オレの部屋にして？」
「え？」
突然のニカの提案は、久々のニカ思想で、私の思考回路では、理解できない。
「ニカの部屋は、隣でしょ？」
私の疑問に答えず、コップにたっぷりの水を入れて、それをさらにたっぷり含んで口を濯ぐニカの横顔に眉をひそめる。
何一つ自力で解決できない私をよそに、コップと歯ブラシを元の場所に戻したニカが、私の方へ向き直るといたずらでも思いついたように笑う。
「Aちゃんの部屋の中に、オレの部屋を作るの！」
「だから、なんでよ？」
ふふって、笑って、それからサービスルームのドアに視線を送ったニカが私の手を取る。
そして、そのまま、リビングへと戻ると、また、クッションへと収まった。
「あの部屋に、オレの物をいっぱい置いておくの。キスマイと、二階堂高嗣と、………オレの物を！」
明るい声で、笑顔のニカの提案。
「オレに会えない時に、Aちゃんが寂しくならないように！」
それは、『タシカナモノ』を欲しがっているように聞こえて。
私のために、寂しくならないように、そう言うニカが、何かを察知しているのが伝わる。
「ねっ！いい考えでしょ！まだまだ、ＤＶＤもＣＤも、雑誌もグッズも、いっぱいあるんだからね！」
立ったままの私の手首を掴んだまま、私を見上げて、一生懸命に笑顔で話すニカに愛しさが溢れる。
「………そうだね。まだまだ、いっぱいあるんだろうね。私の知らない二階堂高嗣くん。」
そう言って、ニカの隣に座ると「こっちでしょ？」って、特等席へと手を引くけど、その手をソッと引き返す。
「今日は、隣がいい。……そっちじゃ、ニカの顔が見えないでしょ？」
今夜は、ニカのこと、ちゃんと見ていたい。
ニカの声を、ちゃんと聞いていたい。
ニカが、どんな風に、私と話しているのか、全部、覚えていたいから………。
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植尾あい(プロフ) - 千明さん» ｉｆ聞きながら？！私、自分の書いた妄想のくせに、それやると悲しくて涙ぐむんですよ……どうかしてる。祈りも最近やばいです。シーンタイトルにしちゃいました……切なくて苦しい展開ですが、この先の二人信じて見守って下さいね。 (2015年10月7日 8時) (
レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ゆうさん» お久しぶりです！もう、ウタゲ終わってキスブサもおやすみで、本当にニカ不足(・_・、) あ、でも、プレバトは、可愛かった！お話の方は、切ない展開ですが、リアル二階堂くんに癒やされながらがんばります！ (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - 由夏さん» ありがとう(ノД`)でも、ちょっと切なすぎる展開。二人が強く心を繋いでいてくれると信じて、書き続けます。 (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - amiさん» お久しぶりです(*´∀`*)ノamiさん。切ないけれど、お互いを求め、思いやる気持ちが伝わっていたら嬉しいです。思いやるあまりに少しずつズレてしまった思いが、この先、どうなっていくのか見守って下さいね。 (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - chizuruさん» 秋の夜長のお供になれたでしょうか？こんな切ないシーンお供にしてもいいのかなぁ。でも、そう言ってもらえて嬉しい。そして、どこか当てはまる歌詞が切なさの中に温かさを感じさせてくれる。 (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：植尾あい
| 作成日時：2015年7月23日 7時
