第四話 思案 ページ7
「ハリー・ポッター！」
先生の凛とした声が響き、ハリーの名が呼ばれると大広間は水を打ったように静かになった。ハリーは恐る恐る椅子に座り、帽子を被ると沈黙が続く。
帽子は随分と長く迷っていたようだったが、やがてグリフィンドールと叫んだ。
「A、ロン！同じ寮になれたよ！」
「そうだね。これから、よろしく」
いかにも嬉しそうに顔を輝かせるハリーを見て、僕も嬉しく思う。これだけ純粋な好意を向けられるのは、心地が良い。
全員の名が呼ばれ終わると、上級生は目の前の食事に手を付け始める。それを見習い、新入生も手を伸ばすが、どうも馴れない環境のせいか余り食欲が無い。
しかし、何も食べないのは彼等に申し訳ない。
「ねえ、もっと他の物も食べた方がいいわ」
「……うん？ああ、分かったよ」
手近にあった料理だけを口に運んでいると、近くにいた縮れ毛の髪をした女の子が喚起を促す。僕の皿に乗っているのは、肉料理を食べた後に食すサラダ。
バランスの悪い食事が、彼女は気になるのだろう。
「私、ハーマイオニー。よろしく！」
「よろしく、ハーマイオニー」
彼女に言われた通りに他の物にも手を付けていたら、校長がこの学校での注意を話す。
第一に、校内にある禁じられた森や、とても痛い死に方をしたくない者は今年いっぱい四階の右側の廊下に入るなと。
「最後に、管理人のフィルチさんから授業の合間に廊下で魔法を使わないようにという注意が来ておる。さあ、諸君。就寝時間じゃ。かけ足！」
その声と共にグリフィンドールの監督生、パーシーが立ち上がり歩き出す。僕達一年生はそれに続いて、大広間を出て大理石の階段を上がって行く。
廊下を突き当たると、ピンクの絹のドレスを着た太った婦人の肖像画が壁に架かっていた。
「合言葉は？」
「カプート・ドラニコス」
パーシーが婦人に向かって合言葉を言うと、肖像画は開き一つの広い部屋が現れる。
「さあ集まって。ここがグリフィンドールの談話室だ。男子の寮は階段を上がって左、女子の寮は階段の右。荷物はすでに部屋に運び込まれてる」
自分に振り当てられた部屋のドアの前まで行くと、プレートに僕とロンとハリーの名前があった。後は、ネビル、ディーン、シェ―マスと書いてある。
皆に挨拶してから、僕はベッドに潜り込んで目を閉じる。
思い浮かぶのは、両親の姿。
きっと、父様達は僕がスリザリンじゃないことに怒っているだろうなぁ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1671人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空天 馬
| 作成日時：2016年6月11日 1時
