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ハリーside
「ここ、座ってもいいかな？」
「もちろん」
僕が初めてAに出会ったのは、汽車の中だ。駅で親切にしてくれた家族の一人、ロンとお菓子を食べていると、彼はやってきた。
「ありがとう、僕はA・アーカーシャ。名前で呼んでくれると嬉しい」
「うん、そうする。僕はハリー。よろしく！」
「……ハリー？」
うん？、と首を傾げてAを見る。伏し目がちな目元は、長い睫毛に縁取られ、そこから覗く蒼い瞳が僕を捉えている。
ああ、何だっけ。
この色を僕は知っている。
――――
「ABCの順番で呼びます。名前を呼ばれたら椅子に座り、組分けを受けてください」
待ちに待った、組み分けが始まった。僕の隣で、ロンがガチガチに緊張して固まっているのを見て少し笑う。
そのおかげで、僕の緊張が少し解れたのは内緒だ。
それにしても、アルファベット順か。僕はHだから、大分後になる。僕は後半だからいいけど、最初に呼ばれる子は可哀想だなぁ。
だって、一番注目を集めてしまうから。
「A・アーカーシャ！」
―――Aだったかぁ。どんまい、と心の中で彼に応援を送る。どうしてか分からないけど、大広間の中は物凄く煩い。
特に、スリザリンだっただろうか。Aを見て騒いでいる。
注目を浴びている当の本人は、視線が鬱陶しいのか、足早に椅子に座り帽子を被る。目深く帽子を被っても、Aは容姿が目立っていた。
僕から見ても、Aの金髪は艶があって綺麗だ。顔も整ってると思う。
「……あの子が」
「スリザリンが貰ったな」
それに、あの瞳。照らされた光に透けて、凪ぐ海か。いや、硝子の瓶に閉じ込めた、淡い宇宙にも見える。
「―――グリフィンドール！！」
物凄い歓声と同時に、先程まで伏せられていた瞳が帽子から晒される。ざわ、とさっきとはまた違う歓声が湧き立った。
ああ、思い出した。
夜明けに見た、群青の空だ。
そんな空をそのまま閉じ込めたような双眸が、すっと細められた。
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作者名：空天 馬
| 作成日時：2016年6月11日 1時
