21話 ページ25
今の私は高級そうな服を着ているので目立つのは避けたい、とのことでレプティルに言われてそそくさと家の中に入った。
アジームの家に比べたら薄汚くてシ○バニアファミリーサイズだけど、やっぱり我が家が一番。
いいじゃんシルバ○アファミリー。
「水だって飯だってある!腹いっぱい食べな!」
「「「「「「「「わーい!」」」」」」」」
歓声を上げてきしむテーブルを囲む子供達。
この木で出来たテーブルだって、アジーム家の大理石で出来た特注品のテーブルとは比べ物にならない。
お母様が亡くなって何年かして子供達を受け入れ始めたとき、それまで使っていたテーブルが皆で使うには小さくてゴミ捨て場で拾ってきたのだ。
足だって取れかけで、お世辞にも綺麗とは言えないような使い古されたテーブルだけど、傷のひとつひとつに思い出がある。
もうこの子達にご飯を食べさせてあげられるのも最後かもしれないな、なんて感傷的な気分に浸って、目頭が少し熱くなった。
空気を読んでいるのかなんなのか、レプティルとゼルビアは壁際で二人で頭を突き合わせながら耳につけたいやふん(イヤホン)?みたいなのに向かって喋っている。
「あ、こら!叩いちゃダメ!
ケンカしなくても、今日はいっぱいあるんだからね」
同じからあげに手を伸ばしたとかで取っ組み合いのケンカになっている男の子二人。
こんな食べ物の一つ二つで取っ組み合いが起こるくらい、お腹が空いていたのだ。
一番のお姉ちゃんだから食べさせるの頑張らないと、なんて思ってもスラムだから食べ物は満足に手に入らなくて。
皆ガリガリに、それこそ骨みたいに痩せている訳ではない。幸い、最低限飢えさせないくらいには食べさせてあげられた。
でも、あの子達はいつでも空腹なのだ。
それがとても申し訳なくて、それなのに私はもう食べることには困らなくなるのだと思ったら泣きたくなって、それを隠すために近くにいたアーヤの頭を撫でた。
くりくりとしたアーモンドアイがこちらを見る。
無邪気にふくふくとした手を伸ばしてくるのが無性に悲しくて、ついにぼろぼろと目から涙がこぼれた。
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マザーグース(プロフ) - ルイさん» 嬉しいです………頑張りますね! (2021年3月27日 12時) (レス) id: 446891bd7a (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - うわぁぁぁぁめっちゃ好きです!更新頑張ってください!! (2021年3月27日 3時) (レス) id: 719e5dac86 (このIDを非表示/違反報告)
マザーグース(プロフ) - 碧生さん» ありがとうございます!!更新頑張りますね!! (2021年3月19日 15時) (レス) id: 446891bd7a (このIDを非表示/違反報告)
碧生(プロフ) - 凄く面白いです!更新待ってます! (2021年3月19日 9時) (レス) id: 7ffc4172b1 (このIDを非表示/違反報告)
マザーグース(プロフ) - ドさん» ありがとうございます。リアルが多忙なため遅くなっておりますが、じきに受験が終わるので更新ペースが上がります。ですので、これからもよろしくお願いします! (2021年1月28日 12時) (レス) id: 446891bd7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マザーグース | 作者ホームページ:
作成日時:2021年1月3日 21時