三十九話 ページ39
規則的な呼吸を繰り返していたAが小さくみじろいで、うっすらと瞳を露にする。
冷たい輝きを灯すアイスブルーの瞳はゆらゆらとさ迷うとやがて俺の方をぼんやりと眺める。
その瞳には、本の少しだけ涙の膜が張っているように見える。
「___起きたか？」
「…シーザー…」
「体調の方はどうだろう？気持ち悪いとか無いか？」
「あー…大丈夫ごめん、寝ちゃってた。」
微かに目を細めて笑う。
「ああ、それはまあいい…いや、良くないんだが…腹は空いてないか？」
「ああ、夕飯の時間のがしちゃったか…まあ、お腹は空いてないし、大丈夫だよ。心配してくれてありがと。」
「……先生が、食べておけと言ってくれてね。」
目の前にほこほこと湯気をたてるリゾットを見せると、Aは困ったように眉尻を下げる。
「あー…ありがたいけど…シーザー、食べて良いよ今は食事って気分じゃあなくて…」
へへへ、と笑っているが、その表情には少々の無理や我慢が見てとれる。
考えてもみろ、自分が気を失っている間に勝手に毒を仕込まれて、残りの寿命は一ヶ月だと告げられた。
そんな中ではたして平気なヤツがあるか？
ジョジョもAも、おちゃらけたふうに笑ったり馬鹿なことを言ってみたりとしているが、その心中は決して穏やかじゃあないはず。
「……無理はしてくれるな、辛かったら、いつでも____」
「んー？寝起きだから疲れた風に見えるだけだよー。それじゃ、部屋に戻るね。ごめん、ベッド使っちゃって。それじゃ、おやすみ。」
そう言ってさっさとシーツを整えて部屋を出ていってしまう。
俺は少しだけ冷めてしまったリゾットを持って、Aを追うように部屋を出た。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 167人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
【ジョジョの奇妙な冒険】壁の目に出会いを求めるのは間違っている？【8部】 【ジョジョの奇妙な冒険】Enjoy 荒木荘Life！―3！―【荒木荘】
貴方に兄が(もう一人)いたら検定【女性限定】もっと見る
「ジョジョの奇妙な冒険」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ソルジャードリーム - 完結おめでとうございます!!!続編期待しています！ (2015年8月23日 22時) (
レス) id: 5aa7608348 (このIDを非表示/違反報告)
桃 - 東雲出雲さん» うぉっ！？あとがきに名前が…！何か照れますね…笑 本当に、作者様の文章が大好きで！今回のお話も、とっても素敵でした！評価が一人一票なのが惜しすぎて…右の星連打しまくりました笑 三部も楽しみにしてます♪ (2015年8月23日 22時) (レス) id: 2ef6e2c81e (このIDを非表示/違反報告)
東雲出雲(プロフ) - 桃さん» 素敵な作品だなんて(*´ー｀*)シャボン玉も見てくださってましたか！ありがとうございます。これからも頑張ります！！ (2015年8月23日 20時) (レス) id: 64e849f3b1 (このIDを非表示/違反報告)
桃 - ふぉっ！？素敵な作品だと思ったら、弾けたシャボン玉の作者様だったんですね…！！シャボン玉もすごくすごく好きでした！ 更新頑張って下さい！応援してます(*´∀`)！！ (2015年8月22日 20時) (レス) id: 2ef6e2c81e (このIDを非表示/違反報告)
東雲出雲(プロフ) - 楓さん» ありがとうございます！一部の夢主とは正反対を意識したかったので！気づいていただけて嬉しいですo(^o^)o更新頑張ります！ (2015年8月20日 18時) (レス) id: 64e849f3b1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：東雲出雲 | 作成日時：2015年8月18日 11時
