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二十六話 ページ26

うすら、と目を開けると、自分の体が酷く重く、シーツに沈み込んでいた。


随分長い間寝ていたのか。

それよりも、あの後はどうなったのだろう。

気を失って、その後……



「A。」


ぼんやりとした視界の中に、金色の髪が落ちる。


「……で、お…」


ああ、声も満足にでない。

多少イライラしながらも、体を起こそうとすれば、すかさずディオが支えてくれる。

ほら、ディオは優しい。


「ふ、よく眠っていたな。もう三日だ。」

「ディオ…ディオッ!!」


多少私らしくはないが、感極まって、ディオに抱き付く。


「っ、何だっ…?」


突然だったからか、少しだけよろけたみたいだが、確りと抱き止めてくれた。


「大丈夫、ディオは優しい。」

「………ああ、そうだな。」


そう言ってディオは大きく成長した手で頭を撫でる。


「A、聞きたいことがある。」


覗き込まれたディオの瞳は、燃えるような赤。

はて、ディオの瞳の色は赤だっただろうか。


「…何ですか?」


不思議に思いながらも、首をかしげると、ディオは床に膝をついて、私の左手をとった。


「……これから、俺と共に永遠を生きてくれないか?吸血鬼となって。」


ちゅ、と、左手薬指に柔らかく、しかし冷たい唇が触れる。

しかし、吸血鬼となって?……どう言うことだろう。

永遠の時を生きるとは、口説き文句として使われることはあるだろうが……。


「ふっ、得意の無表情が崩れているぞ?」

「………ディオ…」

「そう、困らせるために言ったんじゃあないんだけどな。」


どこか困ったように。笑うと、ディオは"考えておいてくれ"と言って、扉を潜り抜けた。



「……ああ、ジョナサンの事、聞きそびれてしまった……」




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東雲出雲(プロフ) - 罠做さん» ありがとうございます!文章が素敵だなんて(*´ー`*)続編できましたので、そちらもどうぞ宜しくお願い致しますm(__)m (2015年8月18日 11時) (レス) id: 64e849f3b1 (このIDを非表示/違反報告)
東雲出雲(プロフ) - ランタンさん» ありがとうございます!続編ができたので、そちらもどうぞ宜しくお願い致しますm(__)m (2015年8月18日 11時) (レス) id: 64e849f3b1 (このIDを非表示/違反報告)
罠做(プロフ) - 続編楽しみにしてます!!文章が素敵で読み易かったです、続き気になりますねo(^▽^)o (2015年8月18日 2時) (レス) id: 1a112de355 (このIDを非表示/違反報告)
ランタン(プロフ) - この話とてもよかったです!続編も頑張ってください! (2015年8月17日 20時) (レス) id: 751d6d43a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:東雲出雲 | 作成日時:2015年8月15日 11時

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