咲けぬ華のまま

26th. ページ28

心が弱ると体も弱ると言うのは本当だと思う。



もうすぐ夏本番だと言うのに風邪を引いて、面会謝絶のお土産まで付いてきた。




やっと面会の許しが出たのはアズサが退院する前日＿＿＿



さすがの私も引きこもり過ぎて鬱憤が溜まっている。


だから、中庭に出てきた。


きっと退院は午前中だから会うのは今日が最後かな。



ほんの少しの期待を胸にベンチに向かうと、そこにはやっぱり貴方がいた。




｢Aちゃん...!!
風邪を引いたって聞いて。
もう大丈夫？｣



｢大丈夫だよ。

今日は明日が退院だから、来たの｣



隣に座るように目配せをされたから、少し距離を置いて座った。




｢退院したら、声優？｣



｢少しずつだけど、仕事に復帰するよ。｣



｢無理しないでね？
応援しているから。｣



しんみりとした空気が流れるも、私は笑って誤魔化していた。





｢これが最後みたいな言い方をするね。｣



見上げたアズサは寂しそうに笑うから、目が離せなくなった。



どうしてそんな顔をするの？



｢聞いてくれないかな。

僕はAちゃんのことが好きだよ。
これからも側に居たいんだ。｣




普通の人なら嬉しいはずの言葉も、私には切なすぎるんだ。




｢…だめだよ、私なんか選んじゃ…。

だって私は…｣




見つめた顔は優しすぎて、泣けてきた。







※いつの間にかお気に入りが100人越えています！
評価も！ありがとうございます！

.

27th.→←25th.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す