咲けぬ華のまま

21th. ページ23

パパ side




私は病気だけど、恋していいのかな？





Aはもうすぐ18歳だ。


普通の女子高生なら彼氏がいてもおかしくない年頃。



普通の生活をさせてあげたかった。



昔から聞き分けが良くて、わがままを言わない子供だった。
まるで自分の生死を受け入れているようだ。


儚くも愛おしいたった一人の娘。







｢Aが好きな人はどんな子なんだい？｣




｢アズサって言って、入院中の人。

優しくて面倒見のいい人だよ｣




｢そうか。面倒見てもらってたのか｣




｢そこだけ切り取らないでよ!!｣




嬉しそうな顔で話をしてくれたのは、いつぶりだろう。

いつからか心から笑った顔を見せなくなった。








Aと別れた後に主治医の斎藤先生に会った。



｢こんばんわ。今は安定していますね。｣




斎藤先生にはたくさんお世話になっている。
Aのことも良く理解してくれる。





｢以前、Aの心臓は弱ってきていると話していましたが…
娘はあとどのくらい生きれますか…

薬は病の進行を遅らせているだけなんですよね…？｣




｢藤村さん...

Aちゃんはもって半年。
明日容態が変わることもあります。｣




先生はAに良くしてくれた。

今も悔しそうな顔で告げてくれた。






｢…そう、ですか…

それともうひとつお聞きしてもよろしいですか。｣



.

22th.→←20th.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す