【獄都事変】夢でまた、逢いましょう。 (ページ5)

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3.「愛から愛へと」ページ5

「これから当たってもらう任務を伝える。」

「はい！」

静かな部屋に、肋角さんの声と俺の声だけが反芻する。

肋角さんは書類を机に放り、内容を読み始めた。

「前回、とある任務を木舌に任せたのだが、亡者に逃げられてしまったらしい。よって、件の亡者を木舌と共に連れてきてほしい。サポートとして、田噛と平腹を現場へ向かわせた。……よろしく頼むな。」

「…はい！」

亡者を連れてくること。

そのこと自体は容易なことなのだが、木舌が苦戦するほどの相手だ。きっと俺を含めた3人では戦力不足となるだろう。

「……あ、斬島。これから任務かい？」

特務室から出ると、すぐ隣に佐疫がいた。

佐疫はいつも通りの優しい笑顔で、俺の方を見つめていた。

「……ああ。だが、相手はかなり手ごわいらしい。……もしものことがあったら、援護を頼む。」

「……もちろんだよ、その時は谷裂も連れていくからね。」

佐疫の言葉に「助かる」とだけ答え、現場へと向かう。

随分と冷え込んできているようだ。

冷たい風が、俺の頬を撫でて通りすがっていった。

現場は山奥の廃校だった。

木造で、今にも崩れてしまいそうなくらいにぼろぼろだった。

「……ん？」

ふと、廊下側の窓から女性らしき影が覗いた。

美しい黒髪の、艷やかな若々しい女性。

その黒髪は同僚の姿を彷彿とさせたような気もしたが、すぐに消えていった。

校舎の入口に、同僚の2人が立っていたからである。

「……お、斬島ぁ！おっせーぞ！」

「……だるい…。」

その対極的でありながらもマッチしている2人の姿を見て、少しだけ肩を竦めて近づいていった。

「遅れて済まない。……亡者はこの中にいるのか？」

俺達の、任務がはじまる。