第一話 愛されたお姫様 ページ2
「お母さま!お母さま!」
「あらあら、A。どうしたの?」
「今日も遊びに行ってもいい?」
私は無邪気にお母さんに問いかける。
私の居る場所はA王国、そして私はA王国のお姫様なの!
勉強はしなくても賢いから公用語はもちろん、交友のある国の言語は全て喋れるし、数学だってフェルマーの最終定理を解けるほどの能力はあるのよ!物理学や心理学だって得意なんだから!
それに親の仕事は国王だから国民の税金で沢山お洋服だって買えるし、ご飯だって美味しい物を食べさせてもらってるわ!今日の朝ご飯はヘルシーに脂身を取ったビフテキだったの!でも公務とか言うのはしなくていいんだって! 私が美しくて可愛いから笑ってるだけで全国民が嬉しいってお母さまに言われちゃった!
「えぇ、行ってらっしゃい」
「ありがとう! お母さま!」
そう言って私が外で遊びまわった事で、後々高級なドレスを必死に洗濯しなくてはいけない事に眉を顰めるメイド――洗濯女中――の視線を気にせずに森の方へ行った。そこにはドラゴンが居て、ドラゴンの魔法をそのドラゴンから教えてもらってるの!
「いいかい。A?」
「はい!」
「しかし人間の子でこんなに魔法の飲み込みが早い子は初めて見たよ」
「えへへ。そうかな」
そう言い、夕方まで必死に練習して、血まみれになりながら練習を終えるとドラゴンが治療してくれるの。
私がお城に帰った時だった。
「A! 逃げなさい!」
「――お母さま?」
「隣の国のライトニング国が攻めてきたの! 貴方の膨大な魔力を狙っているの!」
「――え?」
「良いから逃げなさい。私達A王国は滅びたとしてもかまわない。だが、数万年に一度産まれるか生まれないかの稀代の才能を持つAだけは何があっても逃げなくてはいけない」
「お父様……」
「国を費やしても君を捕まえたい。そう考えているのだろう。早く逃げなさい!」
「お父様、お母さま!」
私は涙を流し、犠牲になるであろう民草らの血税で作られたドレスを引きずりながら走った。
私はまだ知らなかったのだ。悲しみの日々が続く事を――。
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アラーネア(プロフ) - 魔導師の「し」は士ですよー!それと、グロいところの表現が面白かったです!!頑張ってください!! (2018年10月29日 21時) (レス) id: 7bda2fd29b (このIDを非表示/違反報告)
やす いのう み そ(プロフ) - ヴィーナさん» 間違えていました!報告ありがとうございますっ! (2018年9月9日 17時) (レス) id: 07a41a3320 (このIDを非表示/違反報告)
ヴィーナ - 竜滅魔道士と滅竜魔道士は何が違うんですか? (2018年9月9日 15時) (レス) id: 9534f8c68f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やすいのうみそ+ほ | 作成日時:2018年9月6日 11時