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第二話 ページ4

「暑いね・・・」

「・・・暑いですね」

昼時で賑わうバルバット王国の市場。そこを歩く珍妙な二人組がいた。
一人は青年、一人は少女。少女の方は、暑いのかフードを脱いで、片手で
顔をパタパタ扇いでいる。もう片方の手には杖を持っているため、塞がっているのだ。
青年は荷物を持っている様子から見ると、二人は旅人らしかった。

「夜はあんなに涼しかったのに・・・というかファイ、暑いとか言うクセに汗かいてないじゃん」

「暑いですよ。俺は汗をかきにくいだけです。姫もそうじゃないですか」

「私は代謝が悪いだけだし。というか姫って呼ぶなってば・・・おっと」

「あっ」

そんな下らない話をしていると、Aと呼ばれた少女は誰かとぶつかってしまった。
Aは転ばなかったが、相手はストンと尻餅をついてしまった。相手は、子供だった。

「ごめんね、大丈夫?」

「うん。あ・・・」

慌てて手を差し伸べたが、子供が絶望的な表情を浮かべているのを見て、その視線の先を見る。
そこにはぶつかった拍子に、壊れてしまったのであろうペンダントが砕け散っていた。

「あ、う」

「大事な物、なの?」

その問いに子供は涙目で、「死んだ母の形見だ」と絞り出すように答えた。
Aは、そっと子供の頭に手を置いて、微笑んで言った。

「ちょっといい?」

「うん・・・」

砕けた欠片を集めていると、ファイもそれを手伝いながら聞いてきた。

「姫、あれをやるつもりですか」

「うん。だって壊しちゃったの私のせいみたいなものだしね。だめ?」

そう言いながら着々と拾い集め、それをまとめて一つに置いた。そうこうしているうちに
何やら人々も集まってきてしまった。

「いえ、駄目とは言いませんが・・・俺は、心配してるんです」

「大丈夫だって。・・・よし」

Aは、パンと手と手を合わせ、そのまま両手を欠片の上に置く。
途端、バチバチと光が飛び散り、魔法陣が一瞬だけ浮き出ると同時に、煙が上がった。
人々は眩しい光に思わず目をつぶる。そして、目を開けて驚愕することになる。

「これで、どうかな?」

そこにあったのは壊れる前と何ら変わらぬ形をしたペンダントだった。

「「おお・・・!」」

「わあ!直ってる!おねえさん、ありがとう!」

「うん。気をつけてね」

子供は嬉しそうにペンダントを抱え走り去っていった。

「さて。・・・今度はこっちも逃げなくちゃね」

「ですね」



周りには、目を輝かせた人々が二人を取り囲んでいた。

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設定タグ:マギ , バビロン , ダンタリアンの書架   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 面白いです! (2015年5月3日 10時) (レス) id: 152395002b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:セツナ | 作成日時:2013年4月6日 23時

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