妄操人形ーもうそうにんぎょうー (ページ2)

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2冊目ページ2

一人目の私は臆病だった。先程、短気だと言ったが臆病だからこそ怒りやすかったのかもしれない。何かあればすぐ泣く子であった。しかし、注射や怖いもの(世間で言うところの幽霊など)には泣かなかった。

転んでは泣いていた。(何故泣いていたかは謎である。)

体育の時間の時、運動場で泣いていた私にクラスメイトのとある女子は言った。
「泣くなら別の場所で泣いて。迷惑。」

その頃の私はとても幼かったがそいつはその時、年相応の顔には見えなかったのを覚えている。

私はそれに酷く気にしたのか。泣く回数は減った。

私の親もそうだったのかもしれない。
説教されて泣いている時、私の頭を教科書で叩き言った。
「甘えるな。」

私には甘えるという言葉がわからなかった。
甘えているつもりもなかった。ただ素直に気持ちを言っただけだ。
私の素直な言葉は世間では「言い訳」というらしい。

素直な気持ちを伝えなければいい。もし必要なら嘘をついてしまえばいい。

そして一人目の私は死んだ。

不思議な姿をした者が優しく囁いた。悪魔のように。

「可哀想だね、お嬢さん。君は純粋過ぎた。何も知らなかったのだ。でも、これでどうすればいいか分かっただろう？新しく作ろうか。今度はどんな風に作ろうか。」

その者の声はどうやら私にしか聞こえてないようだった。
あとはただ奇妙な歌が聞こえただけだった。