□105.CALL ページ25
***
…あれ、ここ、どこだろう…？
目が覚めると、
そこは薄暗い空間で、
夢なのか現実なのかも曖昧で、
何がどうなっているのか全く理解できなかった。
.
手は固く紐で結ばれていて動かせない。
｢…ん…ーっ…、｣
口元には何かテープのようなものが貼られているようで、
助けを呼ぼうにも声が出せない。
.
…なんでこんなことに…。
思い出せ、…えっと、昨日は確か…、
家にいたら、急に知らない番号から電話が来て、
.
＿＿＿＿*(yesterday)*＿＿＿＿
“森島直輝を助けたくないか？”
“え…？”
“16時30分、△△公園にお前が来なかったら、
森島直輝の命は無いと思え”
“…あなた誰…？”
“そんなことはどうだっていい…！
お前が来なきゃ、森島直輝は死ぬ、それだけだ”
.
そう言い残してﾌﾞﾂｯと切られた電話。
声の主はボイスチェンジャーを使っていたようで、
男なのか女なのかも分からない。
こんな電話、馬鹿げてる。
直輝は強いし、
私が何もしなくてもきっと
自分の身は自分で守ることができる。
大丈夫、こんなの、無視したって…、
.
“お前が来なきゃ、森島直輝は死ぬ”
.
｢……っ……、｣
.
…ダメだ、それだけは無視できない。
直輝が死ぬかもしれないって聞いて、
何もしないで家で待ってるなんてできるわけない。
.
私は泣きそうになりながら急いでコートを羽織って、
約束の△△公園へと向かった。
***
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年3月16日 7時
