■104.応答セヨ ページ24
***
Naoki Side
直輝｢……ん…、｣
目が覚めると、もうすっかり外は明るかった。
どうやら俺は昨日の夕方からずっと眠っていたらしい。
.
.
……そういえば、Aは……？
.
昨日家に帰ってきた時に彼女の姿はなかった。
買い物などに出かけているのだろう、
と軽く考えていたのだが…、
…まさか、帰ってきてない……？
.
そんなことを思うとｻｯと血の気が引いていくのを感じた。
俺は慌てて玄関に向かったが、
そこにはやはりAの靴はなかった。
.
今まで、
自分がこの家に帰らなかったことは何度かあったが、
彼女が帰ってこなかったことは一度もない。
.
急に不安になり、
Aに電話をかけてみるけど繋がらない。
.
“今、Aと一緒にいる？”
と川田レンにもメッセージを送ってみる。
.
.
ﾄﾞｸ、ﾄﾞｸ、と心臓の音がやけにうるさい。
…大丈夫、大丈夫だ。
俺の知らないところで彼女達は随分と仲良くなったみたいだし、
きっと今も川田レンと一緒にいて、
俺といるのが気まずくて彼女の家に泊まっているのだ。
.
冷静を保つために何度も何度も
自分に言い聞かせていた言葉は、
レンからの
“一緒じゃないですよ、
Aちゃん、どうかしたんですか？”
という返信を見て、一瞬で意味を無くした。
***
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年3月16日 7時
