53、うれしくて ページ11
思っていたより、すぐに見つけた。
やはり、アジトにはとどまっていなかったようだ。
ヒゲ広場の壁の前で、膝を抱えて座るAに近づく。
「A…」
A「……遅かったね」
Aの前に立って名を呼ぶと、優しい声でそう言った。
「長く待たせた」
A「うん…何週間たった？」
「二週間…たった」
A「うん、長かったなぁ」
顔を上げず、ずっと膝を抱えたままのAに違和感を覚える。
「A…？」
A「なぁに？」
「…怒ってるか？」
A「ううん」
「…じゃあ顔を見せてくれよ」
A「いやだよ」
どういうことだ？
「なぜ…？」
A「…今、顔あげたらダメだから」
「どうして？」
A「どうしても」
やはり、怒っているのか？
だが、俺だって長らく見ていなかったAの顔を見たい。
俺はAの前にしゃがみ、その前髪をかきあげる。
A「こらっ」
そう言って顔を背けたAの頬を、グイッと持ち上げて、目を合わさせる。
A「あっ…」
「おい、なぜ顔を合わせな……ぁ…」
俺は固まってしまった。
なぜなら、Aが俺の顔を見た瞬間、ポロポロと涙を流しだしたからだ。
A「っく…うぅ…」
「あ…ど、どう…」
どうしたらいいのか…。
俺は動揺して、とりあえず手を離した。
だが、今度はその手のやり場に困り、不自然に首の裏を触ったり、Aに触れようとしてやめたりしてしまっている。
「っ…A…無理にむかせて…その…」
A「ひくっ…ち、ちがう…オウニが…」
「…？」
A「オウニが…そこに、いるから…、かおみたらないちゃうって…っ、うれしくてっ…」
「……っ」
A「だから、かおみたくなかったのにぃぃ…っ」
なんだ。
この感情は。
ウイジゴケがザワザワと動き出した。
A「ふふっ、あんしん…した…っ」
涙を拭ったAは、ようやく笑った。
俺が一番願っていた、あの顔だ。
「よかった…」
A「えっ？」
「いや、なんでもない」
A「オウニはそればっかり…！まったくー」
そう言いながらも、嬉しそうに顔を綻ばすAに、俺も知らぬ間に微笑んでいた。
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姫乃(プロフ) - 鈴さん、ありがとうございます！そんなー！嬉しいです！読んでくださるだけでもありがたいのに、面白いだなんて、楽しみだなんて！！中間考査中にも更新出来たらしますね！ (2018年5月10日 0時) (
レス) id: 9a7901e607 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - すごく面白いです！！いつも楽しみにさせてもらってます。更新頑張ってください！応援してます！ (2018年5月9日 22時) (レス) id: 8f94786c83 (このIDを非表示/違反報告)
姫乃(プロフ) - ああ！！��(ﾟДﾟ)ありがとうございます！忘れていました！！！ (2018年4月15日 16時) (レス) id: 12f13cd074 (このIDを非表示/違反報告)
はら - オリジナルフラグ外して下さいねー (2018年4月15日 16時) (レス) id: c7490cab95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：姫乃 | 作成日時：2018年4月15日 16時
