悪天候の中で ページ4
暖炉にある木材がパチパチと音を立てて燃えている。
薄暗い執務部屋には灯りが一つ影を揺らいでいた。
『ふう…』
カタン…と筆を置き、Aは背伸びをする。
『隊長、私の方は終わりました。隊長の方は…』
Aは言葉をきる。
よく耳を澄ますと静かな寝息が聞こえてきた。
『…珍しい。』
Aは立ち上がると毛布を取り、寝てしまったガイアにゆっくりとかけた。
────お前さんなかなかやるなあ。
ある日の事を思い出す。
その日は大雨で視界が悪く、地面もぬかるんでいた。
こんな悪天候の中にいるのは私以外に誰なのかと振り返ると、言葉を発した彼は目を細めて微笑んでいた。
────行く当てがないのなら西風騎士団に来るのはどうだ?お前さんの腕なら入団出来ると思うぜ。
唐突に誘いを受ける私は彼をじっと見る。
この時の私は旅人であり、モンド出身でありながら彼がどこの誰なのか知らなかった。
────貴方は誰ですか。
────おお、失礼。俺は、
彼は胡散臭い笑みを貼ってこう言った。
────ガイア・アルベリヒ。西風騎士団の騎兵隊長だ。
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作者名:きの | 作成日時:2022年7月25日 0時