忍術学園の六年生には、女子がいる１１

解けない毒と愛１４ ページ10

しかし、ピタリと六年生の前に居た五人が足を止めた

不思議そうな顔をする六年生をよそに、突如小屋の側まで突っ切っていく

七松「危ない！」

弘昌「やはり、居たか！」

五人が刀を振り下ろしたのは、銀杏の山から現れた黒い何か

よく見てみると、人の形をしており、そして鼻が痺れるような匂いが漂っていた

善法寺「…まさかだけど…」

食満「間違いなく、死体だな。」


五人と戦う黒いものは恐らく人間の死体であり、不気味な動きで攻撃している

呆気に取られる六年生に大きな声が向けられた

和豊「早く行け！此処は我々が食い止める！」

礼美「急げ、手遅れになる前に！」

六年生は今すべき事が何なのかを思い出し、武器を片手に小屋へと走り出した

文次郎が小屋の戸を壊し、素早く中に入ると、其処には一人の少年と大きな三つの壺だけがあった

目を凝らすと、三つの人影が力無く眠るのが見えた


立花「三人共、壺の中に居るぞ！」

中在家「しかし、先ずは彼奴を…」

長次が見つめる先には、真っ赤な髪の少年が立っている

此方にゆっくりと髪を揺らしながら振り向き、大きな瞳で六人をじっと捉えた

まるで絵に描いた様な美少年に六年生は、驚きを隠しきれていない

七松「私達と同い年くらいだな。」

潮江「一連の毒事件もこいつが主犯か…」

想像していた姿と違い、あどけなさが残る少年

その目には殺意が現れており、冷や汗が静かに流れた

紅丸「こうなるとは思ってたよ。…にしても、本当に邪魔ばかりだ。」

善法寺「三人を返してくれ！」

紅丸「お兄ちゃんと弟くんは返してあげる。でも、Aは返さない！」

目にも止まらぬ速さで攻撃をしてきた紅丸の手には、鉤爪が付けられており刃には毒が付いている

六年生は少しの毒も付着せぬように、距離を取りながら攻撃態勢を取っていた


立花(早い、少しの隙が命取りだ！)

紅丸「殺す、絶対に！」

鉤爪を小平太に向けたが、寸前の所で苦無で弾く

そして、紅丸が後ろに下がった瞬間小平太が一気に壺の元へと走り出し、あまりに急な事で紅丸も目を見開いた

中在家「急げ、小平太！」

紅丸「ふざけるな！」

小平太を仕留めに向かおうとする紅丸だが、後ろから長次と文次郎に抑え付けられ、伊作に鉤爪を外されてしまった

その間に無事、壺へと辿り着いた小平太は封印を解くと蓋を開けて、三人を救出した

七松「大丈夫か⁈」

食満「もう平気だぞ。」

立花「目を開けて平気だ！」

「「「…っ」」」

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