忍術学園の六年生には、女子がいる１１

解けない毒と愛１３ ページ9

朝乃「ちょっと痺れるけど、我慢してね。」

そう言って、朝乃が手を閉じた瞬間、八左衛門が声にならない叫びを挙げ、その場に転げ回りだした

七松「な、何をしたんですか⁈」

朝乃「体に広がった毒を消しているの。意識が少しでもあれば、情報を聞き出せる。」

その場に転げ回っていた八左衛門は、急に力なく止まったと思ったら、喉元を抑えて苦しそうに口を開く

二人は駆け寄ると、耳を口元へ近づけて声を逃さぬ様にしていいた

竹谷「こ…や…」

七松「小屋？何処の小屋だ⁈」

竹谷「こ…う…よう…たくさん…ある…」

それだけ言うと、今度は本当に口の動きまでもが止まってしまったものの、情報を得る事に成功した

朝乃は目をハッと見開くと、急いで全員が先程まで居た場所へ走り出し、常に集合していた他の者達と合流した

すると、朝乃は一つの場所を大きく指差す

潮江「ん？あの紅葉が綺麗な場所ですか？」

朝乃「彼処に三人が居るわ。」

七松「先程、意識があった八左衛門が証言していた。」

言っていた通り、目を凝らすと茶色の小屋があるのが小さく見える

居場所を知る事が出来たのなら、あとは取り戻すのみ、全員が拳を固く握り、小屋を目指し出した

弘昌「急ぐぞ！」




その頃、居場所が特定された小屋の中では紅丸が頬杖をつきながら、Aに一方的に声をかけていた

鎖に繋がれて、目を閉じるAは紅丸の話に返答が出来る筈が無いのは、紅丸も承知していても口が開いてしまう


紅丸「答えなんか来ないのに、話が止まらないな…きっと、Aに会えたからだよ。」

笑顔になる紅丸だが、すぐ笑みは消えて、悲しげな表情へと変わった

ゆっくり壺へ歩み寄り、そっとAが眠る壺へと触れると、泣きそうな声で話し出したのだ


紅丸「ねぇ…あの日の事が無ければ…俺は普通に君を愛せていたのかな…？」


うっすらと見える自分が付けた赤い痕に紅丸は涙を静かに零すが、昔のようにAが優しく声をかけてはくれない


ぐいっと涙を拭うと、紅丸は毒を持って床下にあったいくつかの大きな風呂敷を取り出し、紐を解くとニヤリと笑った

紅丸「そろそろ来るだろうし、準備は早めにしておこうか。ね、A？」

笑う紅丸の顔は、先程と比べて者にならないほど、残酷だった



そんな事も知らずに小屋の場所へと到着した一同は、慎重に足を紅葉の中へ踏み入れて行く

ガサガサと葉が擦れ合う音に気付かないのか、小屋からは誰も出てこない

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