忍術学園の六年生には、女子がいる１１

解けない愛と毒８ ページ4

髪から覗かれる黒い瞳は、光輝く太陽を見据えながら、寂しそうに細められる


生まれつきの赤い髪の所為か、周りの人は自分を避けている事を少年は、５歳にして感じていた


(「赤鬼みたいだ。」)

「俺は…鬼でも何でも無いのに…」


ずっと聞こえてくる他の子供の遊び声は、今の少年にとって苦痛の音でしかない

耳をそっと抑え、その場から立ち去ろうとすると、横から自分以外の影が生まれていたのに気づいた


「え…？誰、…！」


『君、何時も此処にいるよね。ずっとお話ししてみたいと思ってたんだ。』


少年は突如現れた少女を見て、体が固まる


まるで、辛い思いをしている自分への神様からの贈り物かと思う様な、天使の様に美しい少女だったからだ


この世のものとは思えない美しさを目の当たりにし、固まる少年に少女は不思議そうな顔で見つめてくる


『おーい、大丈夫？』


「あっ、うん。ごめんね…ボーッとしちゃって、」


『そんな事で謝らなくていいんだよ。それよりも、今、時間あるなら私と遊ばない？』

「…！ほんと⁈」


生まれて初めて言われた言葉に、少年は目を嬉しそうに輝かせながら、少女を見つめる

少女は大きく頷くと、持っていた手毬を少年へと優しく転がした


『日が暮れるまで、時間があるから一杯遊ぼう！』


「うん！」


その後は、二人で手毬や鬼ごっこなどをして楽しそうに遊んでいたが、あっという間に時間は経ってしまう





青い空が赤い空に変わり、家に帰りなさいと伝えている様だ

しかし、こんな楽しい時間を終わりにしたくない少年は寂しそうな顔となる

「まだ、帰りたくない！」

『私も、こんなに一杯遊んだの久しぶりだから、帰るのが寂しいな。…そうだ！明日も遊ぼうよ！』

少年の手を握り、笑顔で提案する少女に思わず顔が綻んでしまう


こんなに幸せな時間が、明日もあることの喜びが胸に滲み、自然と首を上下に振っていた少年だった


「俺も、遊びたい。明日も絶対に遊ぼうね！」

『うん！あっ、そうそう。』

少女は、花飾りを取り出すと、少年の長い前髪を横に流し、優しく止める

『折角、綺麗なんだから、顔隠すの勿体ない。』

「いいの？こんなに可愛い花飾り…」

『友達の証。あとね、私の名前はAって言うの。君は？』

「俺は、紅丸…」

『紅丸！今日から、私達は友達だよ！』

ぎゅっと抱きしめてきた、Aの温もりに心が安らいで行く

この時間が続けばいいと紅丸は、静かに思うのだった

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