【おそ松さん】お前らがいる限り、元には戻れない。２

42話。 ページ12

心には誰にも、本人でさえ分からないほど、
深くに二つの歯車がある。

人間が生きていくには大切な歯車である。

その一つは感情。
そして、二つ目は…。


「今日もまた動きがずれていってるわね。」

彼女には不幸な結末がお似合いだわと女は笑う。
本当に馬鹿で可哀想な人間だな。





今日は合同ライブ当日。
嬉しい気持ちに嘘はないが、胸騒ぎがする。

何も起きなきゃいいのにな、
などと願うしか出来ない。こんな私は弱虫なのか。


「沙織、出番だよ！
今までで最高なライブにするにゃん！」

可愛い効果音が鳴りそうなほどの振る舞いで、
れいかは振る舞った。

れいか、スイッチ入ったなと分かるほどだ。


「本番だね。今までの成果を出し切ろう！」


語尾の「にゃん」が私からしたら不自然で、
私は笑いを堪えた。


「いくぞー！」
「おー！」

手の甲を高い位置で合わせると、
とても清々しいほど綺麗な音がなった。

成果を試すようにカウントダウンが鳴り響いた。


と同時に歯車が狂うカウントダウンも始まっているとかなど、本人ですら分からなかった。




ライブは大歓声の中で幕を下ろした。


「それでは合同ライブ、無事終了を祝して！」

「「「かんぱーーい！！」」」

皆のグラス同士を合わせると、
とても綺麗な音が響き渡った。



ライブ中の話をしよう。

ファンの顔が周りが暗くてよく見えなかったが、
声援がそんな感情を搔き消すようだったので、
それはそれで良かったと思った。


なので、十四松も見つけることは出来なかった。

来てくれたということを信じてるだけで、
気持ちがいっぱいだった。


あのれいかも初の大舞台だったので、
歓声と感動で涙したくらいだった。

今は合同ライブの打ち上げ会なので、
皆がうきゃきゃと親睦を深めている。



「いや〜ね。
まさか、れいかがライブ中に涙ぐむなんてね笑。」

「う、うるさいなあ！」

私達は少しの間罵倒しつつも、にこっと微笑んだ。


「「お互いお疲れ！」」

合同ライブ前にもやった二人の誓いである、
ハイタッチを交わすと皆と混じり写真を撮った。


とても笑顔が印象的な一枚が生まれた。




この時が続いてくれるといいな。
生涯ずっと続けば良いのに。

この時が…、この時が…。






「運命には逆らえない。
しおらしくしてなさいね？」

すでに魔女の思考に操られていたなんて、
考えたくもなかった。

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