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24話。 ページ25

これは、沙織が見た異夢の話。


幼稚園の一際離れた木の下。
小さな少女が一人で佇んでいた。

彼女の視線の先には
楽しそうに微笑んでいる園児達。

笑い声で辺りは染まっていた。


立ち上がった少女は
「何が可笑しいのー?」と輪の中に入って行った。

輪の中の一人の子が言った。

「君は入れないよ?悪い子だから。」

「私、何もしてないよ?」

彼女は首を傾げた。
自分の肩にひたりと手が置かれた。

「自分がした事も分からないの?
本当に悪い子ね。」

「せんせーまで?私、何かしましたか?」

先生の笑みは、今まで見たことのない
不気味なものだった。

「皆…?ねえってば!」

彼女の味方になる人なんて、どこにもいない。


「沙織ちゃんは悪い子〜嫌われ者な子〜。」
「いや…!」

咄嗟に耳を塞いでも、その声は聞こえてくる。


「沙織は悪い子。沙織は悪い子。」


「沙織は…【私】は悪い子なんかじゃない!」

私がそう叫ぶと、辺りは静まり返った。
でも心の奥からの声は止まりはしない。



悪い子だよ?
分からないの?自分がしたこと。


私は何もしてない!


したよ?
相手を傷つけた。


誰も傷つけてなんてない。
あれは彼女が自分から手首を切っていたじゃない。


その子だけなの?


何を言って…。


彼のこと何も覚えてないんだね。



「え…?」

固く閉じていた瞼をゆっくり開けると
目の前には、紛れも無い自分が立っていた。


「貴女は…【私】?」

鏡を見ている様だが、そうじゃない。


「可哀想。」
「誰が…?わ、私が…?」

「違う。彼が。」


その瞬間、立ちはだかった闇が
私の心の全てを飲み込んだ。

もう一人の私は、悲しそうな目で私を見ていた。


闇で一人、呟いた。


「私が、本当は悪いの…?」

涙は乾ききっていた。
心はぼろぼろに欠けていた。



「悪い子なんかじゃないわ。貴女は。」

目の前に二つの足が見えた。
その人の手元には私の心のかけらがあった。

周りの闇が透き通っていく。


「可愛くて、微笑ましい。それだけじゃないわ。
面白くて、時には頼りになるの。」

彼女の手元にはかけらが溢れかえっていった。


「一人になんて、絶対にしないわ。」

彼女は私をめいいっぱい抱きしめた。



「私も一緒に考える。
だから一人で抱え込まないで…?親友なんだから。

今から私が迎えに行くわ!沙織ちゃん!」


私の心にはもう隙間はなく
心地よくなった気がした。


「信じてるよ。トト子ちゃん…!」

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鬼夜狐(プロフ) - あけおめーです(*^^*ゞ今年も更新頑張って下さい(*´∇`*) (2017年1月1日 11時) (レス) id: 4f432e9546 (このIDを非表示/違反報告)
鬼夜狐(プロフ) - A.I.O.M.S.Nさん» 作者さんですよ?(o^−^o)あっ更新頑張ってね! (2016年12月31日 1時) (レス) id: 4f432e9546 (このIDを非表示/違反報告)
鬼夜狐(プロフ) - A.I.O.M.S.Nさん» 反応が可愛い(*´∇`*) (2016年12月31日 1時) (レス) id: 4f432e9546 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーと - この作品とても面白いです!!羨ましいくらi(((これからも応援してます! (2016年12月31日 1時) (レス) id: 83489bd204 (このIDを非表示/違反報告)
ほにょか(プロフ) - 面白いっす!!更新頑張ってくださいね! (2016年12月27日 17時) (レス) id: 4f432e9546 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:依愛(いあ)@あるぷすいちまんじゃく。 | 作成日時:2016年9月28日 23時

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