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14話。 ページ15

「これは捻挫ね。足はちゃんと安静にしなさい。
お大事に〜。」

「あ、ありがとうございま…す。」

怪我は捻挫で済んだ。
私が言いたいのはそんな事ではない。
この状況を誰でもいいから良くしてくれ。

なんでかって?

あのアイドルらのせいで、保健室が
ライブ会場の様にぎゅうぎゅうだからだ。

おまけに、騒がしいのなんのって…。
私の言葉なんて、塵に過ぎない。


「大事に至らなくて、本当に良かった。」

三男が優しく微笑んでいる。


「あ、心配かけて…その、すみませんでした!
あ、後…。」

「安心したよ〜。」

「後、何〜?」


自分の口から出た言葉にハッとする。

何処かで聞いたことのある声だった、だなんて。
聞き間違えかもしれないのに。


「えっと…何でもないです!それじゃあ!
トト子ちゃん、入学式始まっちゃう。」

「本当だわ!急がなきゃ…。それでは!」

私はトト子ちゃんの手を引き、
そそくさと保健室を後にした。

彼らが何を思っていたかも知らずに…。

民衆の一人がニヤッと不気味に微笑んだ。




《新入生起立!これにて、
平成◯年私立赤塚学園入学式を閉会いたします。》

キビキビとした副校長がマイクを通して
そう言った。
周りからは、やっと終わったなど声がする。


「沙織ちゃん、早くクラスに行きましょ!」

「だね。早く行こうか!」


私達は、廊下に横に並びながら歩いていた。
そんな時。

「ねえ、そこの子達〜。」

私達に言っているのか?と思い、
私達は振り返った。

そこにいたのは、女子二人組。
見た目的に、同じ新入生だろう。

私は反射的に言った。

「私達に言ってるの?」

「そうよ!ねぇ、私達と友達になりましょ。
私は明日香。この子は久留美。」

一方的に自己紹介されてしまった。
ここはどうすれば…。


「私は弱井トト子。よろしく〜。」


トト子ちゃん、緊張感持ちな!?

でも、そこがトト子ちゃんの凄いところ
だと私は思っている。


「わ、私は松原沙織。よろしくね。」

私は言葉と共に愛想笑いをした。
私なんて、だめだめだ。


「これからずっとよろしくね。
トト子ちゃん、沙織ちゃん。」

「よろしくね〜。」

トト子ちゃんの瞳に出会った時のような光がない。
興味がないとか?
私の思い込みだろうか。


「うん。よろしくね。」

私は、そう呟いた。
確かに、自分でそう一言言った。


人生の歯車なんて、
自分で狂わせてしまうものなのか。
今の私には、そんなことわかるわけなかった。

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鬼夜狐(プロフ) - あけおめーです(*^^*ゞ今年も更新頑張って下さい(*´∇`*) (2017年1月1日 11時) (レス) id: 4f432e9546 (このIDを非表示/違反報告)
鬼夜狐(プロフ) - A.I.O.M.S.Nさん» 作者さんですよ?(o^−^o)あっ更新頑張ってね! (2016年12月31日 1時) (レス) id: 4f432e9546 (このIDを非表示/違反報告)
鬼夜狐(プロフ) - A.I.O.M.S.Nさん» 反応が可愛い(*´∇`*) (2016年12月31日 1時) (レス) id: 4f432e9546 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーと - この作品とても面白いです!!羨ましいくらi(((これからも応援してます! (2016年12月31日 1時) (レス) id: 83489bd204 (このIDを非表示/違反報告)
ほにょか(プロフ) - 面白いっす!!更新頑張ってくださいね! (2016年12月27日 17時) (レス) id: 4f432e9546 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:依愛(いあ)@あるぷすいちまんじゃく。 | 作成日時:2016年9月28日 23時

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