愛のしるし2

境界線 ページ35

“今晩21時にうちに来て”




太輔くんからLINEが来たのはちょうど仕事が終わった20時のこと



昨日のこともあるし、もしかしたらなんて期待をしてしまう





太輔くん、晩御飯食べたかな？



明日はお休みかな？





なんて考えるだけで足取りは軽くて

どんどん大きくなってる太輔くんへの感情が少しくすぐったい






帰ったらちょうどだからそのまま行くねとだけ送って、


もう随分前に1度太輔くんにあげたイチゴアイスを2つコンビニで買って帰路を急いだ






.






マンションのエレベーターが15階につき、扉が開く






「あ、ちょうど21時」




廊下への道がある角を曲がりながら
ニヤニヤ独り言を言って時計から目を前に戻す






.




「っ...え」






ドサリと手に持ったアイスの袋が床に落ちる






私より奥の部屋の扉が開いていて





重なる二つの影




それは太輔くんと、確か今共演してる女優のケイコさん





キス、、、して、、、







太輔「っ!」



太輔くんが私に気付いて目を見開く







あぁそっか、サトルさんの言う通りだ






綺麗なお似合いの2人







普通だったら、ここで彼の名前を呼んだり


ひっぱたいたり



逃げて追いかけてもらったり




そんな風にするのかな？





ケイコさんは目を瞑っててまだ私に気づいてない


今近付いたらきっと変に思われる





すぐ後ろの閉まりかけるエレベーターに急いで乗る






1階までゆっくりと落ちていくエレベーター





私と同じ






咄嗟に押した携帯の番号





プルルルルという機械音と一緒に抑えてたものが喉の奥から溢れるみたいに出てきて






ガチャ





宏光「んー？Aどした？」






「みつくん...たすけてっ....」





いつものちょっと気だるげなでも優しい声に安心して





涙がハラハラと頬を伝って





全身の力が抜けて小さな箱の壁をずり落ちるみたいにしゃがみこんだ

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