君という名の『愛』を見つけて

奮い立たせる声。 ページ34

遊真「…え？」





出水「おれも、やっぱ本気で、Aのこと好きだよ。まあ、あいつには見抜かれてるけどな。





でも多分、好きな人の愛は、キラキラし過ぎてよく見えないんだろうな。





あいつ、お前に愛されてるなんて、微塵も思ってないぜ。





…おれは、Aに幸せになってほしい。






今のあいつは、お前の隣にいるのが幸せなんだよ。」





出水先輩は、平然と言葉を続けているが、後半は苦しげだった。






「あー、なんか…うまく言えねーけど…






おれは、告白しない。」






出水先輩はおれに歩み寄って、おれの肩に手を置いた。






出水「だから、おれはお前の背中を押してやるよ。






伝えて来い。






自分に、嘘をつくな。」






出水先輩の言葉で、おれは奮い立たせられた。






遊真「…ありがとう。出水先輩。」






おれは、支部の方向へ走った。






出水「…言っとくけど、泣かせたら奪い返すからな…。






…は、くそ。






次はおれかよ。」






乾いた地面に、出水のこぼした涙が吸い込まれていった。






ーーーー
玉狛支部。






遊真「Aっ！」






千佳「遊真くん？Aちゃんなら部屋にいると思うよ。」





チカの言葉を聞き、おれはAの部屋に向かった。






やたら静かな部屋の前。





おれはドアをノックして、ドアノブを動かした。

もうやめる。→←これでいいから。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す