14.黄色 ページ16
「桃っちー教科書貸して!」
「きーちゃん?忘れたの?」
「そーなんスよ、他のみんな貸してくれなくて。」
さつきちゃんはドアに寄りかかった男の子。
その人の周りには女の人が多く、スポーツ系森ガール系オタク系キャル系などあらゆるジャンルの女子を虜にしているようだ。凄いね。
そっちの方向へさつきちゃんが向かうと、女子がザッと退いた。
やはりさつきちゃんの可愛さは誰も勝てないのか…。
「もー!!次は忘れないでよ?」
「わーかってるっスよ!桃っち!…ってキミ誰かな?初めまして…うぇっ!?キミが噂の転校生?なんかフツーッスね。」
「へっ、どうせ、どこにでも居る女子中学生だよコノヤロー。」
「ん?なんかー言ったっスか?まいっか、じゃーね桃っち!そこのキミもね!!」
あっ、さつきちゃんが戻ってきた。
苦笑いをしているさつきちゃんは、きーちゃんがごめんねと謝った。
「あの人は?」
「あぁ、今のは黄瀬涼太くん。私はきーちゃんって呼んでる。きーちゃんはね、モデルでキセキの世代の1人だよ。」
あぁ、モデ…モデル!?
「いやあの…ツッコミどころ満載だけど…キセキの世代って?」
「えぇ?知らないの!?…って言いたいところだけど、Aちゃんバレー部だったんだよね?知らなくて当たり前か。キセキの世代って言うのは…。」
キセキの世代。
それはバスケットボールの強豪帝光中学校の頂点に立つ、5人の天才。
彼らは「10年に1人の天才」と呼ばれ、またその5人を総称してキセキという。
「うちのバスケ部ってさ、100人以上居るから1軍から3軍まであるんだ。」
「凄いね。」
「…うん。でも…」
キセキの世代のうち、1人が練習に出ないの。
そう言ったさつきちゃんは悲しそうだった。
…強いならいいんじゃないの?
「え?」
「強いならいいんじゃないのって言った。」
「Aちゃん?」
「だってさ、勝てるんでしょ?いいじゃん。」
「違うのそうじゃない。…違うの!!」
「スポーツなんてそんなもんだよ、どちらかが勝ってどちらかが負ける。
そりゃさ、勝って楽しかったって笑えるならそれでいいよ?
でも勝っても楽しくないくらい周りのレベルが低いの。
それはさ、仕方ないよ。」
「違う!!だってバスケは楽しくないと駄目なの!!!……ごめんね、声あげちゃって。」
「うーうん。」
よく言うよ、強くなりすぎた故の孤独を知らないお前が、楽しい楽しくないの、バスケを語るんだから。
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優希♪(プロフ) - 鳴菜瀬さん» いえいえ、書いてくれるだけで嬉しいですから。 待ってますね♪ (2017年4月18日 18時) (レス) id: eb5121b4a2 (このIDを非表示/違反報告)
鳴菜瀬(プロフ) - 優希♪さん» コメントありがとうございます!!初めまして!!面白いと言っていただけて嬉しいです!ナッシュが出てくる小説はあまり無いので書いてしまいました(笑)更新ゆっくりですが、よろしくお願いします!! (2017年4月18日 17時) (レス) id: 5f31d605a7 (このIDを非表示/違反報告)
優希♪(プロフ) - はじめまして この小説すごく面白いですね。 夢主のキャラがとても好きです。そして、ナッシュが出てくるなんて幸せすぎます! 更新頑張ってください! 楽しみに待ってます。 (2017年4月18日 7時) (レス) id: eb5121b4a2 (このIDを非表示/違反報告)
鳴菜瀬(プロフ) - ベルさん» コメントありがとうございます!!読んでくださって嬉しいです!!更新頑張ります!! (2017年4月12日 20時) (レス) id: 5f31d605a7 (このIDを非表示/違反報告)
ベル - 初めから読みました!更新頑張ってください! (2017年4月9日 9時) (レス) id: 5a526b3f59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鳴菜瀬 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aina15261/
作成日時:2017年2月11日 20時