俺が恋をしたのは片足がない人だった。【高尾和成】

にじゅうさんの障害 ページ24

あれから三日。
俺たちは付き合い始めた。
付き合うってっもっとこう、電話とか、メールとか、いっぱいするもんだと思ってたけど、そうじゃなくて。
彼女に好きでいてもらえてる、付き合ってるって事実だけでうれしくて。
俺、幸せだなってすごく思う。

部活が終わり、真ちゃんの乗るチャリアカーの前の自転車を漕ぐ俺。
真ちゃんの家の前でチャリアと真ちゃんを下ろし、自分の家まで歩く。
すると、ピロリンと携帯の着信音が鳴った。

「もしもし。」

電話に出ると、

『こんばんは、和成君。』

とAの声。
付き合うようになってからは、お互いタメ口、下の名前で呼び合うようになった。

「どした？なんかあったか？」
『ううん。そうじゃなくて、ちょっとお誘いの電話なんだけどね。』

まさか、デートか！？デートなのか！？
俺の気分は一気に上がる。

『次の土曜日、私の家にきてくれないかな？』

Aの口調はとてつもなく落ち着いている。
それとは裏腹に、俺の心臓は飛び跳ねた。
家！？それはちょっと、早くないか……？

『もしもし、和成君？』
「お、おう。行く…。」

そう答えた俺は、なかなかの放心状態だ。
はたから見れば、ただ携帯を耳に当てているだけに見えるだろう。
じゃあ、また。と言って通話を終えた。

高尾和成、１５歳。
男になるかもしれない、まだ暑い秋の夕方。

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