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216.ひまわりの迷路 ページ16

 ある夏の昼下がりのこと。



 太陽を追いかけて咲くひまわりが私の背丈以上に高く、

 私はひまわり畑の中をぐるぐる回っていた。



「Aさ〜ん!大丈夫ー??」



 遠くの方から花屋の弥栄子さんの声が聞こえる。



「だ、大丈夫…ではないです〜!」



「あははっ!迷子になっちゃったかあ〜。」


 弥栄子さんの旦那さん、雄之介さんの笑い声が聞こえた。


「あれ〜?また行き止まり…。」


 立派に育った花森さんの家のひまわり畑は
 
 迷路と化していた。



「…あ!花森さん!

 ここのひまわりは赤っぽい種類もあるんですね!」



 私が遠くに見えた赤色を目指して歩みを進めると、


 どうやらそのものもこちらに進んでくる。


 う、動いている!?


 それはパッと現れると、いきなり手を掴んできた。



「見つけた!!」


「わっ!!杏寿郎さん!?」


 ひまわりに負けないほどの明るい笑顔をこちらに向けて


 杏寿郎さんは楽しそうだ。



「立派なひまわり畑だな!」


「本当ですね。…杏寿郎さんは何故ここに?」


 杏寿郎さんは髪の毛にひまわりの花びらをつけながら


 私の手を握って告ぐ。


「これから墓参りに行こうと思ってな!

 花を買いに来ていたのだ。」



「お墓参り…ですか?」


「ああ、小野寺のところへ。」


 杏寿郎さんは眉を下げて微笑んだ。


 私はおもむろに杏寿郎さんの髪の毛についた


 花びらをとった。



「私もご一緒してもよろしいですか?」



「もちろんだ!きっと小野寺も喜ぶ。」


 杏寿郎さんは手を差し伸べ、私がその手を取ると、


 彼は道の先が見えているかのように迷うことなく


 ひまわり畑の中を歩いて、あっという間に外へと出た。



「おっ!Aさん、出られたね!」


「さすが恋人ね。すぐに見つけてもらえたのね!」


 外へ出ると、雄之介さんと弥栄子さんが私たちを見て

 
 優しく笑っていた。





 小野寺さんのお墓に向かう途中、

 暑い日差しが私たちを照りつけていた。



「…そうだ。

 杏寿郎さんにお伝えしなくてはいけないことが…。」


「ん?」


 桶に組んだ水面が歩く度に波打って見えた。


「刺繍工場のことなのですが…。」


「どうした?」


「実は、長らく体調不良でお休みしていた方が

 お仕事に戻られるとのことで…

 私のお手伝い期間がもうすぐ終わるのです。」

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - sayaさん» sayaさん、ご感想をありがとうございます!一気読み嬉しいです〜!勿体無いお言葉まで…感謝の気持ちでいっぱいです。。ぜひ、他の作品でもお待ちしておりますね!最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。 (10月20日 19時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
saya(プロフ) - はじめまして!キュンキュンしたり、切なくなったり、ホワホワしたり、で一気読みしてしまいました。とまりませんでした。このお話と出会えてよかったです。他の作品もこれから読まさせて頂きます!! (10月19日 23時) (レス) id: 7154e48ffe (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - もにょさん» もにょさん、最後までお読みいただき、そしてコメントをしてくださり、ありがとうございます!最高な作品だなんて…幸甚の至りです!またいつでもお越しくださいね。 (5月6日 8時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
もにょ - ハンカチがびっしゃびしゃになる程泣きました。甘く切なく幸せな夢をありがとうございました。最高な作品に出会えて幸せです。長編お疲れ様でした! (5月6日 4時) (レス) @page48 id: c62f6d1e54 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 桜月夜さん» 桜月夜さん、感想ありがとうございます!感動してくださるなんて光栄です!素敵なお言葉までありがとうございます(*˙˘˙*) (2021年11月19日 17時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年11月5日 19時

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