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217.帰る場所 ページ17

杏寿郎さんは一度こちらを向いて

 また前を向いて歩みを進める。


「そうか…。

 長い間、君はよく頑張っていたな。

 刺繍工場の仕事をしながら、

 家の家事までしてくれていた。

 相当な苦労をかけたと思うが、

 何より君が生き生きとして見えたのは俺も嬉しかった。


 君の腕も確かなものだ。

 素人の俺でさえ、そのくらいは分かる。


 君は本当にすごい人だ。」
 


「そんな褒めていただけるようなことは」



「いや、本当に心から尊敬する。

 君はよく頑張っていた。俺にはできない!」



「ふふっ。ありがとうございます。

 頑張って良かったです!


 …そこで、ひとつご相談があります。」


 杏寿郎さんは歩みを止めて私に問うた。


「なんだ?」



「…お仕事を辞めるので、宿舎も出なければなりません。


 ですから…


 もう一度、煉獄家に置いていただけないでしょうか?


 勝手とは重々承知でのお願いです…。」



 私がそう言うと、杏寿郎さんは眉間に皺を寄せる。



 あれ…、やっぱり勝手すぎだよね…。


 私が俯くと杏寿郎さんは


「何を言っているんだ?

 良いに決まっている!寧ろ早く戻ってきてくれ!」


 と、私の心配をよそに笑顔を向けてくれた。






 お墓参りを終え、煉獄家に着くと、


 千寿郎くんが夕餉の準備に取り掛かっていた。


「兄上!Aさん!おかえりなさい!」


「ただいま戻った!


 千寿郎、来週からAが家に戻ってくるぞ!」


「え!?本当ですか!?」


「…はい。勝手でごめんなさい。

 また、よろしくお願いします。」


 千寿郎くんは嬉しそうに微笑んで私の手を握りしめる。


「もちろんです!

 こちらこそ、よろしくお願いしますね!


 …兄のことも!」



「…へ?」



「戻られたのでしょう?お二人とも。」



 千寿郎くんの言葉に私と杏寿郎さんは見つめ合う。


「前にもAさんにはお伝えしましたが、


 僕はお二人の味方ですから!」



「千寿郎…」



「兄上!

 Aさんを大切に思うのは僕も同じですからね!

 大切なお姉さんのような方ですから!」



「千寿郎くん…」



 嬉しさのあまり私は千寿郎くんを自分の胸に抱き寄せた。



「わっ!!Aさん!?

 は、恥ずかしいです…。」


 その上から杏寿郎さんが私たちを抱きしめた。


「千寿郎、俺もAも


 お前のことを大切に思っている。」

 

 

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - sayaさん» sayaさん、ご感想をありがとうございます!一気読み嬉しいです〜!勿体無いお言葉まで…感謝の気持ちでいっぱいです。。ぜひ、他の作品でもお待ちしておりますね!最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。 (10月20日 19時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
saya(プロフ) - はじめまして!キュンキュンしたり、切なくなったり、ホワホワしたり、で一気読みしてしまいました。とまりませんでした。このお話と出会えてよかったです。他の作品もこれから読まさせて頂きます!! (10月19日 23時) (レス) id: 7154e48ffe (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - もにょさん» もにょさん、最後までお読みいただき、そしてコメントをしてくださり、ありがとうございます!最高な作品だなんて…幸甚の至りです!またいつでもお越しくださいね。 (2023年5月6日 8時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
もにょ - ハンカチがびっしゃびしゃになる程泣きました。甘く切なく幸せな夢をありがとうございました。最高な作品に出会えて幸せです。長編お疲れ様でした! (2023年5月6日 4時) (レス) @page48 id: c62f6d1e54 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 桜月夜さん» 桜月夜さん、感想ありがとうございます!感動してくださるなんて光栄です!素敵なお言葉までありがとうございます(*˙˘˙*) (2021年11月19日 17時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年11月5日 19時

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